私の苦悩
2017年 4月某日
私は会社の入社式に出席するため、日の出の太陽を背に、会社までの道を歩み進む。
ジャケットを着ていると少し蒸し暑く感じた。
しばらく歩くと、スーツを身に纏った集団と出くわした。
私と同様に会社へ向かっている。
見るまでもなく雰囲気で新入社員なのだと理解できた。
こんな言い方をすると悪いが、品の無い集団だと思った。横並びで道を塞ぎ、だらだらと進んで行く姿はさながら、指揮官の居ない雑兵の群れ。
どこに向かうのかも見えない中での進軍、それは私も含めて相違ない。
相手は何者か?魔界の軍団か、信仰を謳う聖十字軍か、違う。
そんなものより難しい手合いだろう。
社会という混沌とした奔流に突き進んでいるのだ。
これから一人の社会人として、この組織の仲間入りを果たすのだから、右も左も分からないのは当然である。
想像と現実は違うかもしれない。
自ら選んだ道ながらにしても、希望とは相反するものかもしれない。
様々な考えが人々の頭の中にはひしめき合う。
もうすぐ、会社へ到着する。
新しい人生の幕開けである。
それは幸福か絶望か、変異していく私の心は大きな渦へと流れていった。
私はできの悪い人間なのだろうか。
最近、こんなことを考えるようになった。
どれだけ頑張ろうとしても気が追い付かない。
そして、否定され、拒絶される。
私はこの世の中に何をもって生まれ出たのか。
私はこの世界で何を成せるのか。
そんな自問自答を延々と繰り返す。
何故、かの者は真っ直ぐと前を見つめられる。
何故、かの者は生を謳歌し幸福に溢れているのか。
私のできの悪い頭では、到底理解し得ぬ理の外なのだろう。
生きていることに疑問は抱かないのか。
生きていることに意義はあると胸を張れるか。
私には疑問しかない。
探り得ぬ答えはいつまでも、私の胸に杭を打ち続ける。