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不審な男

「ふあ~あ」

 朝、映美はあくび交じりに、川沿いの道を歩いていた。今日は真っすぐ帰らず、駅から少し遠回りして川沿いの桜の様子を見ながら帰ることにした。夜勤明けで少し眠いが、天気も良く、暖かくなってきたせいで、気分が良い。

「あっ、少し咲き始めてる」

 桜の枝にちらほら、ピンクの膨らみが見え始めている。

「来週には満開かな」

 川沿いには、桜の木がたくさん植えられていて、春になると川ごとピンクに染まる。

「楽しみだなぁ」

 と映美が、桜の木から川沿いに面して作られた公園の方に目を移した時、一人の男の影が目についた。

 もしかして、母が言っていたのはあの人だろうか。確かに怪しげな男がベンチに座っている。無精ひげを生やし、何をするでもなくぼーっと、何かを眺めてる。眺めているというより、自分の世界に入り込んでいるといった感じだ。確かに不気味だ。

 公園を横切って行った方が家には近いが、男の前を通らなければならない。映美は遠回りして帰ろうか悩んだが、結局、その男と目を合わせないように早歩きで公園を横切った。

「お母さん。いた」

 映美は家に着くなり台所に立っていた母に向かって叫んだ。

「誰が」

「前言ってた人」

「誰?」

「ほら、気を付けなさいって、公園の」

「ああ、いただろ」

「うん、やっぱりなんか怖い感じがした」

「そうだろう気をお付けよ」

「うん、でも、あの人何をしている人なんだろう」

「さあ、どうせ、ろくでもないことよ」

 映美の母は一刀両断切り捨てた。

「ああいう人間には近寄っちゃだめよ。何をされるかわかりゃしないよ」

「うん」

「こないだも、若い女の子が殺されたって事件があったでしょ。どこだったか」

「うん」

 映美は確かに母の言う通りだと思ったが、どこかあの男のことが気になった。



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