五怪会議
「ただいまー」
自宅に帰るとすぐに烏合天喜は妖怪の姿に戻ってしまった。なんでも、人型を保つのはそれなりに妖力が必要なのだそうだ。そして低級の妖には変化はできないらしくそういった者たちは甘美なささやきで人を陥れその体を奪うのだという。
『あら~
光希様、烏天狗、お帰りなさい~』
トタトタと割烹着姿の吹雪さんが部屋の奥から現れた。その姿は旅館の若女将の様でとても様になっている。
「吹雪さん、ただいま
ねぇ、時雨って今どこにいるかわかる?」
『時雨様でしたら、自室でお仕事されていると思いますよ~』
「そっか!ありがとう!」
時雨の部屋は私の部屋と少しだけ離れている。
妖怪は基本夜行性。そのため、屋敷にくる時間帯も夜間が多く話声などで私を起こしてしまわないようにと配慮してくれたようだった。
『…まぁ、それだけではないのだがの…。』彼はそうつぶやいたのだが、聞き返しても笑顔を浮かべるばかりでそれ以上は教えてくれなかった。
「時雨ー開けるよ―」
部屋の障子を開けるとそこには机に向かい何やら書類を纏めてる時雨の姿があった。
『帰ったか、光希…
学び舎はどうじゃった?何か変わったことはなかったかの?』
手を止め、彼は私にそう問いかけた。
「あーごめんなさい。仕事の邪魔しちゃったよね」
『よい。急ぎのものでもないしの。今日中にせねばならんものはもう済んでおる。』
こっちのおいで。と手招きされた光希は、時雨の横に腰を掛けた。
それが不服だったのか、時雨は座った光希の腕を優しくつかむと自身の方へと引き寄せた。
「うわぁっ!」
『ほっほっほっ。軽いの。そなた、食事はしっかり食べておるのか?まるで綿菓子のようじゃ。』
「食べてるよ。一緒に食事しているからわかるでしょ?私がたくさん食べること。」
『確かにの。そなたのその細身のどこにあれらが吸収されているのか謎じゃな。』
時雨は愉快そうに笑う。抱きしめられている光希はされるがままの状態である。
『…して、そなたが我の部屋を訪ねてきたのには何かわけがあるのじゃろう。学び舎で何かあったのか?』
体勢は変えず、時雨は再度光希の問いかけた。
「あぁ。学校は特に問題はないよ。
そうじゃなくて、今日シロにあった時に聞いたんだけど、妖怪の中でなんか大きい会議があるって。
私の事を話すって噂になってるって聞いたんだけど…それって本当?私何も聞いてないから確認しようと思って。」
『む?…おぉ、そうじゃった!
そういえばそなたに話しておらんかったか。てっきりもう話したつもりでおったわ。
そうさの、今度の満月の夜それぞれの地区の妖怪頭達が集まり五怪会議開かれることとなったのじゃ。会場がこの屋敷になったのでな、その日はいつも以上に騒がしくなってしまう。
一応、厳重にそなたの部屋には守りのまじないを施すつもりじゃが…』




