和解
久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです(>_<)
「ーーーーっ」
嗚呼、よかった。彼は生きていた。
ちゃんと、私の目の前にいる。助かった、助けれたのだ。
私をみていた時雨の目が見る見ると見開かれる。
『ーーーどうしたのじゃ。
なぜ泣いておる。光希…』
「…え?」
私に近づき、彼はそっと私の頬に手を添えた。
その細長い指先で、彼は私の頬にあるであろうそれを拭う。
『悲しいのか?』
「…違う。違うわ…
これは、嬉しいの。あなたが無事で…」
そう、姿を見てやっと緊張の糸が切れた。
“彼を助けることができた”
それがこんなにも嬉しい。
『…そうか。嬉しいのか…』
心配そうに見ていた彼は柔く微笑んだ。
『我もそなたが無事で嬉しい。
…そしてすまなかった。
あの時、そなたの言葉を聞かず怒りをぶつけてしまったこと。
…そなたにしてはいけないことを我はしてしまった。』
「…ううん。私もごめん。
貴方に心配をかけてしまって…。
あの時、貴方が怒った理由もわかっていたのに…」
『よい。そなたが怒るのももっともじゃ。
そなたが謝る必要はない。』
時雨は私の頬に触れていた手を離す。
そして少し落ち着かない様子で…いや、なんだろう。すごく不安そうな表情を浮かべている。
少しの沈黙。
不安そうな表情は、何か決心を決めた表情へと変わり、そして…
『…光希、そなたは、その…
わ、我のことが嫌いか?
もう其方の伴侶として認めてはもらえぬのじゃろうか…』
その時の彼は
まるで親と逸れ、1人になってしまった子供のような
なんとも言えない。泣きそうな、不安そうな表情を浮かべていた。
そして大の大人に、それも大妖に向ける感情ではないことはわかっているのだが。
不覚にも可愛いと思ってしまう自分がいた。
「ーーー…はぁ。」
私のため息に彼はビクッと肩を揺らす。
これの膝の上で、ギュと握られている拳の上に自分の手を重ねる。
「そんなに力を入れたら、手が傷ついてしまうでしょ?
…もう。困った旦那様だなぁ」
そう言って彼に微笑むと
時雨はひどく驚いた表情を浮かべ、そして泣き出しそうな笑顔で
『我の奥様には敵わぬなぁ』
そう、言ったのだった。




