表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐に嫁入り!  作者: 春海
学校
44/48

和解

久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです(>_<)


「ーーーーっ」



嗚呼、よかった。彼は生きていた。

ちゃんと、私の目の前にいる。助かった、助けれたのだ。


私をみていた時雨の目が見る見ると見開かれる。



『ーーーどうしたのじゃ。

なぜ泣いておる。光希…』


「…え?」




私に近づき、彼はそっと私の頬に手を添えた。

その細長い指先で、彼は私の頬にあるであろうそれを拭う。



『悲しいのか?』



「…違う。違うわ…

これは、嬉しいの。あなたが無事で…」



そう、姿を見てやっと緊張の糸が切れた。

“彼を助けることができた”

それがこんなにも嬉しい。



『…そうか。嬉しいのか…』



心配そうに見ていた彼は柔く微笑んだ。



『我もそなたが無事で嬉しい。

…そしてすまなかった。

あの時、そなたの言葉を聞かず怒りをぶつけてしまったこと。

…そなたにしてはいけないことを我はしてしまった。』



「…ううん。私もごめん。

貴方に心配をかけてしまって…。

あの時、貴方が怒った理由もわかっていたのに…」



『よい。そなたが怒るのももっともじゃ。

そなたが謝る必要はない。』




時雨は私の頬に触れていた手を離す。

そして少し落ち着かない様子で…いや、なんだろう。すごく不安そうな表情を浮かべている。


少しの沈黙。

不安そうな表情は、何か決心を決めた表情へと変わり、そして…




『…光希、そなたは、その…

わ、我のことが嫌いか?

もう其方の伴侶として認めてはもらえぬのじゃろうか…』



その時の彼は

まるで親と逸れ、1人になってしまった子供のような

なんとも言えない。泣きそうな、不安そうな表情を浮かべていた。


そして大の大人に、それも大妖に向ける感情ではないことはわかっているのだが。

不覚にも可愛いと思ってしまう自分がいた。



「ーーー…はぁ。」



私のため息に彼はビクッと肩を揺らす。

これの膝の上で、ギュと握られている拳の上に自分の手を重ねる。



「そんなに力を入れたら、手が傷ついてしまうでしょ?

…もう。困った旦那様だなぁ」



そう言って彼に微笑むと

時雨はひどく驚いた表情を浮かべ、そして泣き出しそうな笑顔で



『我の奥様には敵わぬなぁ』




そう、言ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ