それぞれの目覚め
「…それで、時雨の意識は戻ってるの?」
『あぁ。貴様が目覚める少し前にな。
…精神世界で戦われていたのだ。
時雨様も、精神的にダメージを受けていたのだろう。あのような雑魚に時雨様の心の安寧を脅かされるとは…自分の不甲斐なさに嫌気が差す。』
彼は唇を噛みしめ忌々しそうな表情を浮かべた。
刹那の沈黙。それを破ったのは、意外にもシロだった。
『お前、考えすぎなんだよ。
主人を守るのが俺たちの使命ではあるけど、お前のいう時雨様は、そんなに弱い妖なのか?
主人を守れなかった妖を罰するような、そんな妖なのか?』
『そんなわけあるか!!
あの方は大妖でありながら力をひけらかさず、我ら弱者にも手を差し伸べてくださる大きな器を持った素晴らしい方なのだ!!
そのような発言は、侮辱ととるぞ!』
ピリピリと肌を刺すような殺気。
その殺気を浴びているはずのシロはジッと烏天狗を見つめたと思うと二パッと太陽のように笑った。
『それなら大丈夫だろ!
お前がそこまでいう大妖ってんなら、眷属にここまで心配されるのはむしろ侮辱だと思うぜ?
それに、あの男がやられたのはあいつの責任であって、お前の責任じゃねぇだろ。
お前もお前で真面目そうだし、そんなに考えすぎるとハゲるぞ?』
『は?!
ハゲたりせぬわ、馬鹿者!!』
『はぁ?!俺別に馬鹿じゃねぇし!』
「…ふっ、あは、あははっ!!」
『『?!』』
烏天狗とポチは突然笑い出した光希を驚いた表情で見つめる。
「ははっ、2人とも、なんだかんだ仲良し、ふふっ」
『みつき!俺、別にこいつと仲良しじゃねぇよ!』
『そうだぞ、小娘!』
「いや、でも2人ともっ、仲良くできそうだよ?
ふふっ、息もぴったり…ふふふっ」
『〜〜〜っ!
もう良い!笑うな!』
そっぽを向く烏天狗だが、それは照れているのだとすぐにわかった。
全く、素直じゃない。
和気あいあいとした、なごやかな雰囲気が流れる。
その時、襖がゆっくりと開かれた。
その先にいたのは…
『ーーー何やら可愛らしい声が聞こえたと来てみれば…光希、目を覚ましたのじゃな。』
「!?」
開かれた襖に寄りかかりながらこちらを見つめる時雨がいた。




