時雨side
天が裂け、目の前に少女が降り立つ。
その手には妖刀。先ほどまで我が使っていたものだ。
『なぜ…いや、それよりも其方…髪が…』
目の前の少女の腰ほどあった美しい長い黒髪は、乱雑に斬られていた。
呆けた顔をする我をその双眼でとらえた少女は、安堵の表情を浮かべた。
「無事でよかった。でもごめん。そんなに長くこの刀を使うことはできないの。
ひとまず話は後にして!」
よく見れば少女の衣服は所々破け、その白魚のような肌にも傷がついていた。
それでも彼女は…
使い慣れないであろう刀を手に持ち、“ハルであった者”にその刃を向ける。
『なぜだ、なぜただの人の子がその妖刀を手にできる?!』
ハルであった者は、その表情を歪める。
「うるさいわね。
あなたが知らなくてもいいことよ。
…どうせ今から、消えるのだから。」
『…ふ、しかし運が悪かったな妖刀よ!
その小娘、まともに刀に触れたことがないだろう!?
一介の剣士ならまだしも、素人なんぞの太刀筋に当たるわけがなかろう!!』
敵はそう言って背を向け逃げ出した。
距離が開くにつれ、闇が濃くなっていく。まるで姿を隠すかのように…
『…っ、みつき、その妖刀を我にっ
今ならまだ間に合う、我が、この手で…』
前に出ようとする我を、光希が手で制した。
驚き彼女に目を向けると、その双眼が我を見つめる。
そして…
「…大丈夫。私はアイツを逃さない。」
その瞳が妖しく光るのをみた。




