現実
「…ん…はっ!?」
目を覚ました私は辺りを見渡し、変な男がいない事を確認し安堵した。
よかった、やっぱりあれは夢だったんだ。
そもそも、着物を着ていた時点でおかしいと思わなければならなかった。
現代にそんな格好をしている人はいない。
それに、炎に包まれてても生きていたし、人間ではありえないところから耳が生えていたし、何より金色のモフモフとした尾が9本も生えていた…
「…もふもふ。
なんであんなモフモフしてたんだろう…」
『近頃はしゃんぷーやりんすというものがあるからの。
この艶やかな毛並みを保つ事ができているのじゃ。』
「へぇ、そうなんだ…って、え?!」
声の主は病室の扉の前に立っていた。
「な、なんで…!
貴方、夢じゃなかったの…?」
『我が夢?
ほっほっほ…其方は面白い事を言うのぅ。
其方が気絶してしまったのでの。
少々野暮用を済ませてきたのじゃ。』
野暮用ってなんだろう…
なんだかとても嫌な予感がする。
『それにしても、どうじゃ?
我の事を受け入れたかの?』
「受け入れたかとかじゃなくて。
貴方が私をなぜ助けたのか。その理由を教えて欲しい…
貴方が生きようとする私に興味が出たからといって救うとは思わないから。」
『なんじゃ。
我の信用は地についているようじゃの。
特に何かをした覚えもないのじゃが…はて、何故じゃ?』
心底不思議そうな顔をする時雨だが何かを思いついたのかぽんっと、手を叩きニヤニヤし始めた。
美形がニヤニヤしていても何故か変態感が出ない。
だが、私の中での警戒度は格段に上がった。
そんな私の心情を知る由もない時雨は
『命を助けた見返りに、其方を“花嫁”として貰い受けることとなった。
妖怪頭の嫁など、名誉な事を其方は成そうとしているのじゃ。
誇って良いぞ?』




