代償
それに触れた刹那、何かが私に語り掛けてきた。
“愚かな人の子よ。汝はなぜ、力を求める。”
少し驚きはしたけれど、その声は妖刀のものだとすぐに気づいた。
そして私は心の中で答える。
〔なぜ‥‥?
そんなの決まってる。彼を、時雨を助けなければならない。彼がそうしてくれたように。〕
“他者の為に力を求めるか。人の子よ。汝は力と引き換えに何を差し出す。”
〔私が差し出せるものはとても少ない。彼らのように力があるわけでもない。ただの脆弱な人間だもの。
逆に問いたい。あなたは何を差し出せば私に力を貸してくれるの?〕
“妖力のない汝が差し出せるもの。それは命。命を差し出せば力を与えてやろう。”
〔命‥。〕
‥少し前ならば、差し出していたかもしれない。でも今は、私のことを心配してくれる人たちがいる。彼らが私の為に、私を助けるためにここまで来てくれた。その思いを裏切ることはできない。
〔私は、この命を無駄にすることはできない。彼らが私のためにここまで来てくれたのだから。ここで命を差し出してしまったら、彼らの思いを裏切ることになってしまうから‥‥〕
“それならば何を差し出す。”
命に変わるもの‥
その時、ある考えが浮かんだ。
〔私は‥‥〕
私が、妖刀に差し出すものは‥‥




