覚悟
「妖刀って‥‥」
『あそこに突き刺さっているものだ。
かつては退魔の刀と言われていたがこあれはそんなに生易しいものではない。‥‥実際は使えば妖力を吸い、それを糧とし力をふるう恐ろしい刀だ。それゆえ、時雨様も滅多に使われぬ。だが今使わねば、時雨様は…』
「……わかった。その刀を使えばいいんだね。ちょうだい。」
『!?なにを…』
烏合天喜は困惑したような表情を見せた。なによ、その顔。
「私は人間よ。あんたたち妖だと危険かもしれえないけれど、私ならその妖力ってものはないからうまく使いこなせると思うの。」
『いや、この刀はそんな簡単に扱えるものでは‥!!』
「いいから!時雨を助けたいんでしょ!?」
わかった。と烏合天喜は渋々承諾し刀に手をかざす。すると一帯に風が渦巻き刀が宙に浮いた。
それはゆっくりと私の元に近づいてくる‥そして
「‥‥きれいね。」
刀身は闇の様な漆黒。その様子からも普通の刀ではないことは明確であった。
『み、みつき‥‥それ、怖いよ‥』
いつの間にか近くに降り立っていたポチ。彼は不安そうに私の顔を見つめる。
「大丈夫。ポチ、これは妖力を吸うようだからあなたは烏合天喜のところにいなさい。」
『で、でも‥』
「私は大丈夫だから。ね?」
ポチに心配を掛けないように笑顔を作る。上手く、笑えているだろうか。
『‥わかった。』
私の覚悟を感じ取ったのか。彼は私に一度すり寄ると時雨の背からはなれた。
良かった。これで、誰も巻き込まない。
改めて、眼の前に浮かぶ刀と対峙する。
綺麗だ。綺麗なのだが‥まがまがしい何かを纏っている。
本当は逃げ出したい。でも、時雨は私を死の淵から助け出してくれた恩人だ。
そして、あんなにひどいことを言ったのに私を助けに来てくれた。
「恩は返さないとね‥!」
私は覚悟を決め、その刀に手を伸ばした。




