危機(3)
烏合天喜は驚いたように目を見開いた。
「時雨の所に行かないといけない気がするの…」
『ふっ、いいだろう。
連れて行ってやる…!?』
旋回。突然、烏合天喜は旋回した。
そして忌々しげに地上を見つめる。
『チッ、あやつ、厄介だな!』
その視線の先にはシロがいた。
彼の手は獣のソレになり、そしてその手は光り輝いていた。離れているのにも関わらず、その手からはバチバチと何かが弾けるような音がする。
『小娘、あそこにいる獣…自身のことを何の妖だと言っていた!』
えっと、確か…
「…狛犬だって言ってた!
神様に使える神使だって…!」
私の言葉を聞いた瞬間、烏合天喜は『チッ』と大きく舌打ちをした。
「な、なにか問題でも…?」
『問題!?
問題など、山積みもいいところだ!!
よいか、神使というのはな!
そこらの雑魚妖怪と違い、力のあるものしかなれぬ!
それにだ!狛犬は雷獣という種族だ!
我ら空を統べる者にとって雷は天敵も天敵!
つまりまともに戦えば分が悪い!!』
「なっ!!」
それって、だいぶピンチなんじゃないの!?
『そもそもなぜここに!この場所に!!
神使の狛犬がいるのだ!』
頭を抱える勢いの烏合天喜になぜシロがここにいるのかを説明した。
そうだった、彼は途中参加だから何があったのか把握できていないんだった。
話を聞き終わると先ほどとは打って変わって
今度は考え込むそぶりを見せた。そして…
『…そうだな。あの狛犬と小娘との間に確かな縁があるのなら…あるいは…
…おい、小娘。これはうまく行けば何とかなるやもしれぬ。』
「へ?ほんと!?」
『その為には貴様に働いてもらわねばならんがな!』
烏合天喜はそういうと、ニヤリ、それはそれは意地の悪い笑みを浮かべていた。
嫌な予感しかしない。




