危機
〜光希side〜
ーーーーー苦しい。
突然のことで頭がついていけていない。
でも確かに“苦しい”その感情だけは感じていた。
首がミシミシと不吉な音を立てている。
どうやら私は首を絞められているようであった。
首元に伸びる手を必死に引き剥がそうとするがビクともしない。
“いったい誰が”
目前の敵を確認しようと、薄眼を開ける。
そこには先ほどまで笑顔で話していたはずのシロがいた。
その目には光がなく、ただただ闇が広がっている。
“なぜ…?”
その疑問が頭をよぎる。
さっきまで普通に話していたはず。
そしたら急にシロが頭を抱えて苦しみ出して…
気づいたら、こうなっていた。
なおも抵抗を続けるが、ポチの手が解かれる様子はない。
意識が朦朧としてきた。
呼吸もままならない状態。
脳に酸素が行き渡っていないのだ。
“このまま、死ぬのだろうか…”
死が頭を過る。
このまま死んだら、どうなるのだろう。
私の死を、誰か悲しんでくれるのだろうか…
…いや、悲しむ人はいない。
私は、1人だ…。
生きることを諦め、瞳を閉じたその刹那
バキッという音と共に、首の締め付けが無くなった。
「ーー…ゲホ、ゴホッ!!!」
『小娘!
眠るのはまだ早いぞ!!』
私の目の前に立つその男は右手に錫杖を持ち、背中から黒い翼を生やしていた。
…ん?
いや、ちょっと待て。この男、すごい見覚えがある…!
「…、なんで、あんたがここにいるのよ!
烏合天喜!!」
『話は後だ!
距離を取るぞ!!』




