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狐に嫁入り!  作者: 春海
学校
24/48

退魔の刀…?


〜時雨side〜


部屋を出ると

結界を破ろうとしていたそいつは、ただそこに存在していた。



『…ほぅ。貴様がことの発端か?』



問いかけに対し、反応はない。

ふむ。

これは相当“喰われて”おるの。



そやつはどうやら人であったようだった。

先ほどチラリと見えた時は上体全て見ることができた。

しかし今は、胸部あたりまで“良くないもの”に喰われている。



ここまでこ奴らに喰われているということは、余程の闇を抱えておったのじゃろう。



…人は誰しも心の内に闇を飼っている。

それをうまく制御できているうちは良い。

闇に唆され、喰われる事もない。


しかし中には他者になぶられ、いじられ、蹴落とされ…

心の闇が深くなるものがいる。


そ奴らは闇に捕まり、諸悪の根源を絶やそうと躍起になる。

その思いの強さが人であったモノを異形の姿に変える。

そう、闇に捕まるとその者の心の醜さが反映されてしまうのだ。



『…我の言葉が理解できぬか?』




問いかけると俯いていたその人間は、バッと顔を上げた。

そしてケタケタとただただ笑う。

ケタケタケタケタ…




『もはや、人には戻れぬか…憐れな…』




取り込まれすぎると、人はもう人ではなくなる。

それは人の皮を被った“何か”になる。

それは人界だけでなく妖界にも影響を与える。

それらを祓うことも妖怪頭の務めである。



脇に刺した“ソレ”を抜き取る。

刀身は普通ならありえないほどに、黒い。



嗚呼、自分がただの無力な存在になるのを感じる。



先ほどまで笑っていたソレはピタリと笑うのをやめる。

そして、刀を、闇のように染まった刀身を見ていた。



『…ほぅ。気になるのか、この刀が…』



その刀はかつて名刀と言われたものであった。

弱き妖ならば、風圧だけでも消滅してしまうほどの霊力を持つ…言わば退魔の刀…

その恐ろしさから、我ら妖からは敬遠されていた。

…しかし、それは思い違いであった。

退魔の刀ではないのだ。これは…


この刀は、自身の近くにいる妖の妖気を吸い、霊力を高める呪われた刀。


妖力が弱いと吸われてしまい、消滅するためいつもはできるだけ使わぬようにしている。

しかし…



『…貴様と一瞬でカタをつけるには、こやつを使うのが一番効率が良いのでの。

それに、人として生きれぬのなら早く祓ってやる方が良いじゃろう…』



相手が何を考えているのか読み取れないが…

何故だか相手が泣いているように感じた。


…さて。気になっている方もいるじゃろう。

先ほど言った通り、この刀は呪われた退魔の刀。

妖の妖気を吸い、成長する。

ならば、我には何も起こっていないではないか、と…

それだったら良いのだが、ことはそう上手くは運ばない。

もちろん我にも退魔の効果は現れる。

おかげで先ほどまでモフっていた尻尾が9本から3本に減っている。

6本分の妖気を吸われておるのだ。

自分がとても弱い存在になったとヒシヒシと感じる。嫌じゃの、全く。早くなんとかせねばならぬ。

ただでさえ、狛犬がいて気が気じゃないんじゃ。



『早急にカタをつけさせてもらうぞ…!』

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