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狐に嫁入り!  作者: 春海
学校
21/48

現状の把握


「あ、あなたこそなんでここに…っ」




『説明は後じゃ!

ひとまずここから退くぞ!』



時雨はそういうと、手から炎を出し高千穂先輩へと投げつけた。

その炎は彼女を包み、焼いていく。



「や、焼いて…」




『ひとまずこれで良い。

動け…そうにないの。担ぐぞ。』



時雨は私をお姫様抱っこすると、会議室を後にした。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


「…っ」




『…っと、すまぬ。痛むか?』



私たちは今保健室にいる。

ひとまず私の傷の手当が先だという理由から一応応急処置の物品が揃っているここに来たのだ。


傷口に消毒薬をぶっかけられ、包帯を巻かれる。

少し染みるが、我慢できないほどではない。

少し休め。そう言って私はベッドに寝かされていた。



「…っ、それで、何でここに…」



寝た状態で彼を見る。

時雨の表情は険しくなる。



『それよりも。其方、お守りを持っているな?

それを我に。』



あまりの迫力に、言う通りお守りを渡す。



『…やはり、の…』



「やはりって、なに?どういうこと?

何で時雨はここにいるの?ってか、来るの遅いし、すぐ来るって言ってたのに…!」




『いや、待て!

待てわかった。我が悪かった!だから泣くな!どうしていいかわからぬ!』



「な、泣いてないわよ!」




鼻をぐずぐずさせながら、光希は時雨をキッと睨んだ。

時雨は観念したように話し始めた。




『…ふぅ。そうじゃの。どれから話すか…


…其方に渡したこのお守り。

本来ならば其方がこの空間に来た時点で我に知らせが来るはずじゃった。』




「…本来なら…?」




『うむ。

しかしどうやら上書きというか…なにか新たに術がかけられておったようじゃ。

それによって、我に知らせが来るのが遅れたみたいじゃの。』



『さて、先ほどなぜここに来れたのかと聞いたの。

其方が学び舎にいないという連絡が入ったのじゃ。

それで気配を追ったら学校の手前で辿れなくなっての…

空間のほころびを探しておったらお守りが正常に作動し、今世の狭間に来ることができたのじゃ。

どうやら、重ねて術をかけたモノが怪我を負ったかで術を維持できなくなったのじゃろう…』




「でも、なんでそんなこと…」




『…それはこちらのセリフじゃ。

其方、我が気づいてないと思うたか?』



「…え?」



驚き、目を見開く光希に覆いかぶさるように時雨が近づいた。



「な、なに!?」



時雨は顔を光希の首元に近づける。

首元がこそばゆい。




『やはり、の…

其方、先ほどまで誰と一緒におった。

この臭い、昨日もしておった…

答えよ、誰じゃ。』



時雨の瞳に恐怖を感じる。

彼の瞳は、獣が獲物を狩るときのソレになっていた。



「誰って、言われても…

し、シロとしかいなかったけど…

シロ!そう!シロが大変なの!!

あの子、私を助けようとして先輩を引きつけて…でも、先輩はこっちに来てたから、あの子…もしかして…」



『シロ…?

なんじゃそれは、犬か?』



「そうよ!

大きい子なんだけど…ねぇ、見なかった?」



『見ておらんが…そうか、犬か…ッ!』



時雨は突然、扉に視線を向けた。



「ど、どうしたの?」



『…そこにおるのは何者じゃ。』



「ま、まさか…先輩が…?」



『いや、それはないの。

ここには結界を張った。あの不浄なものは入ってこれぬ。

入ってこれるのは、我が眷属けんぞくか力を持つ妖だけじゃ。

…じゃが、この気配。我が眷属ではないの。



扉を開け、入ってこればよかろう!』




時雨は9本の尾を出し、万全の警戒態勢をとる。


少しの間の後、ガラガラと扉が開いた。

そこには…



『ワフッ』



「シロ!」



白い毛並みに所々血が付いてしまい、赤く染まっているがシロがいた。

よかった、あの人にやられていなかった。



『…シロ?

ほう、貴様がシロか…この臭い、貴様じゃな。

我が妻に術をかけようとしたのは。』



尻尾を振っていたシロが、ピタリと止まり時雨を見つめる。



『それにしても…いつまでそのような姿をしているつもりじゃ?

早々に人型を取らぬと、我に殺されるぞ…?』




時雨はそういうと先程の様に手から炎を放った。

その炎はシロを包み込む。




「し、時雨!

やめて、死んじゃうよ!」



『はっ、彼奴あやつがこの程度で死ぬ様な輩か。

其方に術をかけた輩じゃぞ?

獣ではなく、立派な妖じゃ。』




見てみろ。

時雨に言われるまま、シロに目を向ける。


するとそこには、先ほどまでいたシロの姿はなく

代わりに銀髪の男が立っていた。

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