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狐に嫁入り!  作者: 春海
学校
16/48

烏合天喜という男


烏合天喜うごうあき

この不自然な時期に転校してきた転校生。

出身地については固く口を閉ざし、必要最低限のこと以外話そうとしない。

黒髪短髪、そして切れ長の瞳。がたいも良く身長も高い。それだけ見ればなかなかのイケメン。

実際にクラスの女子は彼の席の周りに群がりしきりに自分をアピールしていた。

だがそんな彼女達に目もくれず、彼はただ一点を見つめている。


…そう。なぜか隣の席の私を。




…なぜ、私は転校生にこんなに熱烈な視線を向けられているのだろうか。

どんなに考えても、理由はわからない。

でもこれだけはわかる。

この事で私はクラスの女子にさらに嫌われたということが。

…まぁ、そこは前までとあまり変わらないからいいとして。



私も彼からの視線を受け、気づいたことがある。

彼は私に一目惚れしたとかそういう甘い考えでこちら見ているわけではない。

なんて言ったって私と目があった瞬間、あいつはこれでもかというほど眉間にしわを寄せ『チッ』と、盛大な舌打ちをかましてきたからだ。

(それに対してはさすがの私も腹がたった。

しかし相手は人気者。下手なことをすればとばっちりが来る。それは避けたい。)



授業中は仕方なく教科書を貸し(烏合天喜は私にできるだけ近づかないようにしていた)

休み時間は校舎内を歩き回ったりした。(吹雪が言っていた学校の変化が気になっていたからである)



1日を通しわかったことは、どうやら時雨の言うように私は目が良くなったらしい。

なんせ学校に張ってある結界とその外にいる妖が見えるようになっていたのだから。

結界は学校を囲む塀に合わせて張ってあった。

少し触れてみるとそれはまるで波間に小舟が揺蕩たゆたうように揺れた。

例えるならそう、プリンのようだった。


そして結界のお陰なのか校舎には外にいるような妖の類は一切見かけなかった。

うまく隠れているのか、それとも時雨に追い出されたか。

それはわからないが怪しいと思うほどに空気が澄んでいるように感じた。

…気のせいかもしれないけれど。




「…あまり、変化はなかったな。」




そう、特に変わった様子はない。

視えるようにはなったが、特に支障はないように思える。

うん、これなら安心して学校生活を『駿河光希。』


…あ。




「…高千穂たかちほ先輩…」




名前を呼ばれ振り返ると、そこには私の古巣である陸上部の先輩…高千穂先輩がいた。


彼女は腕を前で組み、偉そうに仁王立ちしている。そしてその後ろには…あー、うん。2、3人子分を引き連れているね。


内心“またか。”と怒りというよりは呆れてしまった。

彼女はよくこうやって私を待ち伏せしていた。

そしてそのあと体育館裏へと呼び出し(リンチの定番である)

まぁ罵詈雑言を私に浴びせ、満足して帰るという少し変わった先輩であった。



「…どうしたんですか?

そんなにお友達を多く引き連れて…」




もう私は貴女にあんなに罵詈雑言を吐かれる理由は思いつかないぞ?



『…?

ふん、まぁいいわ。

貴女、元気に歩いているようだけど。

足は治ったのかしら?』



一瞬不思議そうな顔をした。だがそれもすぐに無くなり次は

ニヤニヤニヤニヤ。嗚呼、気持ちの悪い笑みを浮かべて。

なるほどね。そういうこと。

今度は歩けても走れない私を馬鹿にしに来たのか。

ほんと、暇だねこの先輩。



「…えぇ。ご覧の通り歩けてますから。

それで?用事はそれだけですか?

先輩も暇なんですね?」



ニッコリ。その効果音が似合いそうな笑顔を浮かべる。

もちろん、言葉にトゲを乗せて。



『…っ!

ふ、ふん。そうね、治ったようね。歩けてはいるようだけれど、貴女部活はどうするのかしら?

…ああ、そうだった。

貴女もう走れないんだったわね?

ごめんなさい。貴女が走れなくなったこと、すっかり頭から抜け落ちていたわ。』




…これはなかなかグサリ。心臓に剣を突き立てられ抉られてるように、痛い。

…でも負けない。

こんな奴に、負けたくはない。



「…先輩?」




私は一歩、一歩と高千穂先輩に近づいた。




『!?

ッ、な、なによ!』




泣くところを想像こそしたものの、まさか近づいてくるとは思わなかったのだろう。

彼女はわかりやすいほどに動揺していた。




「先輩。

どうしたんですか…?」



近づき、先輩を壁に追い詰め耳元に口を近づける。そして。



「あぁ、安心してください。

私が貴女から奪ってしまった選手の立ち位置。

貴方に返って来ますよ?

よかったですねぇ、また無様に負けなくて?」



『ーーーッ!!!』



彼女は私に無様に負けた。それは彼女のプライドを傷つけていた。

だからそこを刺激した。彼女がそうされる事を一番嫌っていると知っているから。

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