妖怪頭
『さて、どこから話そうかの…』
時雨はどこからか煙管を取り出し、それを吸い始めた。
少しの沈黙。
『…其方は何から聞きたい?』
考えても思いつかなかったのか、困ったように時雨は私を見た。
そうだな、まずは…
「妖怪頭って何?
時雨はお偉いさんって事?」
『おお、そこからか。
そうじゃの〜…
妖怪頭というのは、自身の治める土地の治安を護る為
その土地の妖共を統率する役割を担う者の事じゃ。
この国には大きく分けて5つの領域がある。東西南北に加えて中央区があっての。
それぞれを名の通る妖が治めておるというわけじゃ。
其方も正式に我の花嫁となったら会う事になるじゃろうな。』
「お披露目みたいな感じ?」
『そうそう。お披露目みたいな感じじゃ。』
「ちなみに、どこを誰が治めてるの?」
『勉強熱心よの〜
まぁ良い事じゃな。
…東区は牛鬼。
こやつは水辺の妖での。基本的には傍観者じゃ。しかし一度逆鱗に触れればバクッと喰われてしまうでの。気をつけるんじゃぞ?
西区は我じゃ。
まぁ、見ての通りという感じじゃな。
南区は土蜘蛛
こやつは名前の通り蜘蛛の妖怪じゃ。しかもとてつもなくデカい。
それに若いからか気性が荒く喧嘩っ早いので妖怪頭1の問題児じゃな。
其方も絡まれぬようにの?
北区は雷獣
こやつは一番我と仲の良い妖怪じゃ。共に獣であるからの。なかなか意見も合う。
しかし雷を司る妖怪であるため、会うと必ず天気が崩れてしまうんじゃ。そこだけは困ったもんじゃな。
最後の中央区は天狗
こやつらはまぁ人攫いが好きでの。
攫ってきた者を自身の伴侶にするらしいぞ。烏天狗も一応は中央区の出身じゃから何か気になるのならあやつに聞いたほうが早いかもしれぬの。
まぁ、ざっとこんなもんじゃ。』
「…それじゃあ、この屋敷にはどれ位の人妖がいるの?」
『そうさの〜
西区はさらに中で区別しておるからの時々多人数集まるが今は使用人が10人ほどかの?
後で其方の専属の使用人を紹介するから我がいないときはその者を頼るように。』
「使用人…初めてだよそんなの…」
うまくやっていけるかな…
少しだけ不安だ。
「あ、そうだ!
時雨は今いくつなの?」
見た感じ、二十代後半くらいなんだけど…
『そうじゃな〜
この姿になってからはもう200年ほど経っておるかの…
それ以前の記憶はないんじゃ。昔過ぎての。』
「に、200年…
200歳以上…え、すごい年の差だね…?」
『年齢はそう関係ないじゃろ。こういうものは。
思いがあればなんとかなるはずじゃ!』
すごい自信…なんか関心しちゃったよ。
…これが、最後の質問だ…
緊張度が高まる。
実はこれが一番聞きたかったんだ。
「し、時雨はさ…
なんで私を選んだの?」
時雨はキョトンとした表情を浮かべた。
『病院で会ったときに言ったではないか。
無様に生にしがみつく姿に興味を持ったと。』
「そうなんだけど。
本当にそれだけ?
それだけの理由で私を選んだの?」




