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狐に嫁入り!  作者: 春海
出会い
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ある雨の日の物語

晴れた日に、雨が降る…


それは天気雨と言われる現象。


だけど、本当は私たち人間と

狐狸妖怪である狐との

婚姻の儀が行われている証なのでした…。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



シトシトと、雨が降り始めた。



あーあー、やだな。さっきまであんなに晴れていたのに。


私は雨が嫌いだ。

ジメジメとして、髪の毛は広がるし。

傘を持たなければならないから、両手を使うことができないし。

何より、外で部活をやることもできない。

自由に走り回りたいのに。

この雨じゃ、走り回ることもできない…



「…なんて。

もう、走ることはできないんだったな…」



それはもうずっと前の話のように思えた。

私は陸上部で、それなりにいい成績を残していた。

だから選ばれた、選手として。

大会に出れると、浮かれていたのかもしれない。


その日は、まだ梅雨も明けていなくて。

今日のように雨がシトシトと降っていて。

私は学校から帰っている途中だった。


…その時だった。



キキイィィィィイィィーーーガシャンッ!!!!!



何が起きたのかわからなかった。

ただ、意識が朦朧としていて…

なぜか私は横たわっていて…

誰かが叫ぶ声が聞こえた気もしたし、空を飛んだようにも感じた。


薄れゆく意識の中、何かが私に問いかけた。


“生きたいか?”と…


なんと答えたかは、覚えていない。


ただ、次に目を覚ました時、私はベッドの上で横たわり白い天井を眺めていた。


その時のことは今でも忘れない。

生きていたことが嬉しかったのか、何かの喪失感を感じていたからなのか。

ただひたすらに、涙が出た。



…その後、医者の話を聞いた。


私は歩いているところをよそ見運転していた車に衝突されたこと。

出血がひどかったが、なんとか一命を取り留めたこと

一週間ほど寝込んでいたこと



そして…


足のダメージが大きく、日常生活を送ることはできるが

以前のように走り回ることは困難であること。



絶望。



その一言であった。


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