秋のおっぱい
琢磨周は、反社会的行動に強い快感を感じる遺伝子と、強い倫理観念を感じる遺伝子を持って生まれた。
幼稚園の頃から、他の園児を叩いたり、蹴ったり、ひどいことをいったりしていた。ただ友達は多かった。つまり、人を選んでいじめていたということだ。そのような一般的ないじめを、幼稚園の頃からしていた。
小学生の時も、すぐにクラスのガキ大将になった。相変わらず仲間は多かった。小学生の六年間を通してずっと寺沢紅葉をいじめた。世の中に知られているありとあらゆるいじめを、寺沢にした。
中学も、高校も、警察沙汰になることは少しはあったが、罰則は特になく、そのままえぐいいじめを続けた。彼は大学に行った。
琢磨周は十九歳で自殺した。
寺沢紅葉は、強い倫理観念を感じる遺伝子と、友達と遊ぶことに快感を感じない遺伝子を持って生まれた。
保育園の時は、一人遊びをした。特に誰かと遊ぶことはなかった。先生が一緒に遊ぼうというくらいに。
小学生の頃は、友達は一人も作らなかった。彼は友達を作る意味が分からなかった。入ってすぐに琢磨周にいじめられた。寺沢はすごく嫌だった。そのあと彼は、友達を作るのはいじめの防御のためだということに気づいた。しかし既に彼は琢磨に酷いいじめを受けていたし、誰も琢磨に逆らえなかった。彼も友達と遊んで楽しいとは思えず、ただ面倒だと感じた。彼はたまに不登校になりかけながらも、なんとか学校には行っていたが、小学六年生になってから全く行かなくなった。その後ずっと死ぬまでひきこもり生活を送り続けた。
寺沢紅葉は十九歳で自殺した。