表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
肉弾×白兵×遠火×魔戦  作者: 夏目義弘
51/62

覚醒

 ぼとり。

 暴漢の腕が地面に落ちる。

 正宗の抜いた真剣が、鋼の刃が肉を切り、骨を断ったのだ。

 暴漢の叫びは続く。

 腕を切断された痛みと喪失感に、泣き叫ぶ。

 地面を転がり、のたうち回る。

 血管の切断面から、大量の血が噴き出している。

 それは切断時でも同様で、正宗の顔から胸にかけ、びっしりと返り血が浴びせられている。

 腕の静脈を通ったそれは、ドス黒く、正宗の肌を染めている。

 正宗の顔が歪む。

 目にかかった血に、それを洗い流そうと涙腺が反応。

 涙が溢れて流れる。

 唇も血に染まっている。

 温かいその味に、口角が上がる。

 正宗は目で泣いて、口で笑っていた。

 確かな肉と骨の手応えに、目覚めたそれは咆哮した。

 理性も、勝利の勝ち鬨を上げる。

 身体が熱い。

 運動とは違う身体の熱さ。

 息が荒くなっていった。

 なのに肌寒いように、全身が鳥肌を立てている。

 暴漢はいつの間にか沈んでいた。

 失血のあまり気を失ったのだ。

「叔父さん」

 立ち尽くす正宗は、懐かしい名を呼んだ。

 付いた血糊が、切っ先から垂れる。

 返り血を拭うことなく、そのまま正宗は放心した。

 人一人の腕一本を切断したにも関わらず、吐き気はしなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ