プロローグ
僕の名前は木ノ下姫継。
ピッチピチの17歳!趣味はtwitt○r。フリルとトキ(弟)が大好きな美形☆お兄さんだよ!(そこ!疑わない!変な目で見ない!石を投げない!)双子の弟の名前は時久。金髪(染色)碧眼(カラコン)の超絶美少年…話が弟ながらテラ萌えす…ハァハァ。でも不登校ぎみで、今日もやっぱり学校に来ていない。…単位落とさなきゃ良いけど。
これは僕ら兄弟とその他大勢が繰り広げる壮大にして純情な愛の物語…
きーんこーんかーんこーん…
耳に馴染んだ鐘の音。下駄箱に大量投入されたラブレターを掻き出すように紙袋に落としながら、僕は物思いにふけっていた。今朝も、女の子に告白された。…女の子に。
「そりゃ、僕はカッコイイし?スポーツ万能だし勉強出来るし?ありとあらゆる事が人より秀でているし?…でも違う。何か違う。こんなの違う」
僕が好きなのは、トキ。僕は女の子に生まれたかった。トキと付き合えないなら、男の子でモテたって仕方がないのだ……。満たされない思いに、ずきりと胸が痛む。
ラブレターの回収作業を終えると、今度はトキの下駄箱もチェックする。こちらはラブレターと、半分は果たし状だった。…トキ、またどっかの不良グループ潰したな。トキはトキで、女の子に興味が全く無いようだ。いつも刀を持って(銃刀法違反)、喧嘩に明け暮れている。
「はぁーあ、罪な僕たち」
「何を朝からナルシシズムに浸ってるのよ、姫ちゃん」
振り返ると白い人物が立っていた。
雁野ユウヤ。三年生。僕より頭一つは背の高い、色白の男の子。白いジャージを着て、髪の毛まで白く脱色しているものだから、とにかく白くて眩しい。ユウヤがいると文字通りの意味でその場が明るくなる。とある事がきっかけで仲良くなったんだけど、…。
「姫ちゃん、今日は部活するの?」
「するよ」
「ウフッ、楽しみだわぁ」
真性オカマである事に最近気付いた。