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彼のその瞳は。
「ねぇ悪羅、空は青いんだよね?空は広いんだよね?」
ー彼は嘘をつく
『空は、青くないし汚いよ。
広くもないし狭いよ…』
彼女の為に。
彼女は何も知らない。
外の世界を。
どんなに外の世界が汚いかを。
どんなに外の世界が醜いかを。
彼女は外の世界に夢を描いている。
例えば、外の世界は綺麗だとか希望に満ち溢れているだとか。
でもね、そんなのやっぱり空想で本当は全然違うんだよ…
彼女は俯き気味にポツリ、と言った
「そっか…お空は汚いんだ…」
哀しむ彼女に俺は心の中でごめんね、と謝る。でもこれが君の為だから。
君の世界はこの狭い狭い箱の中だ
これからずっと俺と一緒に居るんだ
もしも終わりの時が来て、俺たちの関係がなくなってしまうのならその時は一緒にいなくなろう
君の瞳はまだ綺麗だ
俺の瞳はもう真っ暗な闇でいっぱいだ、この世界のせいで。
だから君にはこの世界を嫌いになってほしい。俺みたいにはなってほしくないから。
いつかの君の言葉を思い出すー