少女の夢
黒夢
女。黒髪黒眼の普通の少女。
年齢は16才。喋り方が幼い。
悪羅
男。黒眼青眼の謎の男
年齢は不明だが見た目からして10代後半
ズプリ、肉に何かが刺さる音が静かな室内に鳴り響く。
「ぅ…あぁ”…!うっや、め…っ…あ"」
ソレと同時に野太い声が悲鳴を上げる。
その音色は悲痛を表していた
けれどもズプリ、とまた肉に何かが刺さる音がした。そしてまた野太い声が悲鳴を上げる。
地に広がるのは真っ赤な赤。
どくどくと流れ、広がっていく綺麗な赤は神秘的だった。
『あはアハ…あはアハハハハハッ!!』
その笑い声は狂気染みていてけれども悲しさも帯びていた。
ーその光景は異様だった。
『…っはぁはぁ』
また、これか。
いつもいつも同じ夢を見る
あたしにそっくりな女が1人の男を笑いながら刺すという奇妙な、夢を見るのだ。
嫌な夢…
寝てる時くらい休ましてほしいよ
あたしはそんな事を考えながら少し離れた場所に眠る黒い髪の男を起こす。
『悪羅、悪羅…』
「ん…黒夢…?」
『ん、起きて』
パチリと大きな目を擦りながら眠そうに起き上がる黒髪の彼は悪羅
悪魔とかのあくに森羅のらで悪羅。
不思議な名前だけど黒夢っていう名前のあたしが言えないと思う。
悪羅はふぁ〜と欠伸をしながらあたしに向き直り、「なーに?」と聞いてきた
『あのね、またあの夢を見たの。
あたしにそっくりな女が男の人を刺す夢。
何でこんな夢見るんだろ?
可笑しいよね、本当の事じゃないのに…』
「………。
大丈夫、だよ。」
そう言った悪羅はどこか困難したような顔をしていた。
あたしはすこし考えてから「ふーん」と適当に返すとまた眠りにつく事にした。
…今度はあの夢を見ないように。
眠るんだから。
『おやすみ…悪羅…』
「おやすみ、黒夢」
薄れていく意識の中、あたしを見ながら微笑む悪羅の顔が妙に脳裏に焼き付いた気がした