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第8話:命の恩人

どうも、格孤です。


投稿が1日遅れてしまいました…

すみません。少し忙しかったのです。


…今回も、宇宙生物の謎に迫ります。


では、本編をどうぞ。


「僕の仕事を手伝ってくれないか?」


「…………。」


…これは一体……どういう状況だ…?なんと答えればいい?…というか、なにを言ってるんだこの人は?


まだ会って数分も経っていないのに、いや、この人からしたら数時間なのかもしれないけど、ほぼ初対面なのに、『仕事を手伝え』…だって…?それに、宇宙生物の撃退なんて聞くからに危険そうなことを…遠慮がないにもほどがあるんじゃないか…?


私が特別なのかなんだか知らないけど、始めて会った人が特別な人間だったからって、家にまで連れてきて突然こんなことを頼むなんて、身勝手にもほどがあるだろう。


そりゃまぁ確かに、怪物に襲われてて、危ないところを助けてもらったって恩があるけど、これはさすがにひどいんじゃないか!


…いやもしかしたら、宇宙生物の話も全部ウソで、私を自分ちに連れ込んでよからぬことをしようとしていただけなんじゃないか?

というか、危ないところだったっていうのも、ウソだったんじゃないか…?

そう、きっとそうだ!この人もどうせ周りの男の人と同じで、自分のことしか考えていないんだ!


ならば答えは決まってる!


「…お断り…します!」


すると意外なことに、相馬先輩は意表をつかれたような顔になった。なんだ、絶対に断られないとでも思ってたのか?


「え、…なんで?」


「えっ?いや、なんでって…宇宙生物を撃退する仕事なんてよくわからないし…。なんか危なそうだし…。…そもそも、あの生物が宇宙生物だとか、相馬先輩がそんな仕事をしてるとかってこと自体が信じられない、というか…」


…なんて…それっぽいウソをついて断ろうとする。


「…………」


先輩の表情からは、先ほどまでの笑みは消えている。ただじっと私の目を見つめている。

…無表情。

何を考えてるのかわからない。

むむむ…


「…ぇと…助けてくれたことに感謝はしてますが、それに関わりたいとは思いません。すみませんが、断らせてください。」


「…………」


先輩の表情は、さっきからずっと変わっていない。


若干気まずい雰囲気になってきたので、この辺でおいとまさせてもらおうかな…。

ベッドに座ってた状態から、すっと立ち上がる。


「危ないところを助けていただき、本当にありがとうございました。」


ぺこりとおじぎをすると、先輩が背を向けているドアのほうに歩き出す。


先輩は座っているが、横を通る時少し緊張した。


そしてドアノブに手を伸ばす。


…と…...


ガチッ


「…え…?」


鍵がかかってる。

特に鍵穴やそれっぽいものはないのだが、なぜかドアが開かない。


「…なんで…?…あ!」


上をみると、ドアの一番上に、開かなくなるような仕掛けがしてあるではないか!


…いつのまにこんな…?


U字型の金具でストッパーをかけてるだけの簡単な仕掛けなのだけど、

…ぅ、くそっ!こんなとき、身長が低いことを恨む!そこまで全然手が届かない!

と、閉じこめられた?

なぜこの先輩はこんな真似を!?


背伸びしたり、ぴょんぴょん跳ねたりしていたら、


「…ねえ、宇宙生物ってさ。」


さっきからずっとこっちに背を向けて、頭を下に垂れていた先輩が、背を向けたままいきなり話しかけてきた。

声に抑揚がなく、先ほどまでの明るい雰囲気は一体どこへいったのか、とてもテンションが低く、暗い声だ。


「…感情っていうものがないから、人間の『欲望』っていうものがどういうものなのか、とっても知りたいらしいんだ。」


…なに…?またいきなり脈絡のない話を始めたな…。今度はどういうつもりなんだ…?


「ま『知りたい』って思うこと自体何かの感情だと思うからこの話は矛盾してると思う。まぁでも、これも人から聞いた話だから、確かなのかはわからないけどね…。」


ん…?

話が全く読めない。私が外に出れなくて困ってるときになぜこんな話を始める…?


「…だから…なんなんでしょう…。」


「…宇宙生物ってさ…その『欲望』ってものを求めてやってくるように、地球に集まってきてるんだって…」


ウソじゃないかって意識しちゃったために、急に嘘っぽく思えてきたな…


「……」


「で、地球に来て、欲望が強い人を見つけたら、その人の体に…脳に入り込むんだ。物理的にどうなってるのかわからないけど、とっても小さくなってね。」


この場面でこの話を始めた意図はわからないが、言ってることはまぁわかる。


「…その人の『欲望』を知るために、ですか?」


「……そう。ただ問題は、人間がそれに耐えられないことなんだ。脳に入り込まれて1週間も立つと、その人の欲望が『満たされる』という形ではなく、宇宙生物に『奪われる』という形で全ての『欲』がなくなってしまう。そうなると誰もが自殺に走るようになるんだ。『生きる』という欲も奪われてしまうからね。」


「…ッ…そんな…!?」


そ、そんなことが本当にあるのか?

…もし、この話が本当のことなんだったら、結構まずいんじゃ…?

脳に入り込まれる?

欲望を奪われる?

科学的に言ったらなんともアバウトな話だけど、宇宙人のことなんて私にはよくわからないし、もしかしたら宇宙人ならできるのかもしれない。


「…ゆりちゃん、君は、僕に助けられなきゃ危うく宇宙生物に、脳の中に入り込まれるところだったんだよ?」


…!?


「えっ…そ、そうだったの…?」


って、いやいや…先輩のうまい口車に乗せられちゃいけない。

…これも…ウソだ。きっと…

…でも、もし…本当のことだったんだとしたら…

もしかして、あの触手みたいなのに巻きつけられたことがそうか!?


…つまり、危うく『欲』を全て奪われ、自殺に走り死んでしまうところだったと……。


「…!」


…まさか、この人……?


「気づいたみたいだね。」


ぐるりと体を回転させ、こちらに向き直る。


…そんな…たち悪いでしょ…こんな話…!



「…つまり僕は、君の命の恩人ってわけだ。」


…あぁ。なんて綺麗な輝いた笑顔なんだろう…


「君は、命の恩人の僕の頼みを断るつもりかい?」


第8話、読んでくださりありがとうございます。


相馬先輩は意外と黒いキャラでした。


そんなこんなで次回は、ゆりちゃんが精いっぱい先輩と戦います。

ぜひ、彼女の奮闘をご覧ください。


格孤でした。

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