第6話:目覚め
どうも、おさかなくわえた格孤です。
前回のあとがきでも言いましたが、今回、主人公の名前が判明します。
ついでに、主人公を助けてくれた謎の彼の正体&名前も判明します。
同時に、あの怪物の正体もちょっとだけ判明します。
それでは、本編をお読みください。
「う…うー…?ここは…」
どうやらあのあと、本当に眠ってしまったようだ。
寝ている間に誰かが運んでくれたのか、起きると私はベッドの上に寝ていた。
…ん?ベッド…?
って……
ここは…ここは…
あれ…?
…どこだ?
どう見ても、ここは学校の保健室とか、運び込まれた時にくるような場所ではなく、普通のマンションの一室なのだ。
…あ…あれかな?眠っちゃう直前に聞いたあの声の主の家かな…?
それにしても、あのあと何が起こったんだろう。
いつの間にか寝ちゃってたから、わからないけど。
というか…あの突然の眠気は一体なんだったんだろう…?
………。
…あのあと…あの怪物に対して、私を助けてくれたあの声の主は、どんな行動をとったんだろう。
やっぱり逃げたのかな…。ん?すると、私を連れて?………。
いや、それよりも、あの怪物は一体なんだったんだろうってほうが気になる。
動物園から逃げ出した動物~っていう仮説で納得するには、不可解な点が多すぎる。
…まさか、未確認生物や妖怪、モンスターの類じゃあるまいし…
……。
はっ!
そういえば、あの声の主、なにか重要なことを言ってた気が…
あ、あれ?なんだっけ?
う、うーん…記憶がハッキリしてなくて、ほとんど覚えてな…
ガチャッ
と、突然ドアの開く音がした。
と同時に部屋に入って来たのは…
「おや?目が覚めたんだね。」
にっこりと笑っていて、愛想の良さそうな好青年だった。
あれ…この人どっかで…………
「あ!ぅあぁ!?あなたはさっきの…」
…いきなり声をかけて来た変態じゃないかー!
あぁ、そうだ、眠っちゃう直前に聞いた声は、確かにこの人だった!
「覚えていてくれたんだね…ありがとう。」
持ってきたおぼんをテーブルの上に置き、床の座布団に座りながらクスリと笑う。
あぁ~っやめてぇ~!さっきもその笑顔に騙されたんだから~っ!
「ね!あなたは誰?なんで私はここに運ばれたの!と言うか、ここはどこ!?」
甘い笑みに若干ときめきかけの自分の本能を振り払うように、大きな声で質問をまくし立てる。
すると彼は、笑顔のまま、おぼんの上に置いてあるジュースの入ったコップとストローを持つと、私の方に差し出してきた。
「はい。ずっと寝てたからのど乾いたでしょ?オレンジジュースは大丈夫?」
ちょっと…聞いてるのか…?
ちょっと受け取るのをためらったが、そんな笑顔で私に気を使いながら渡されたら、断れない…。
「…うん。大丈夫…ありがと。…」
ベッドの上に座りながら両手を伸ばし、それを受け取った。
確かにのど乾いてたから、ちょうどいいし…。
いや、それより…
「…え、そんなにずっと寝てたの私…?」
「うん。そうだね。僕がこの部屋に運んでから、大体4時間ぐらいは寝てたかな。」
うげっ!?
「よ、4時間?そんなに…?」
見ると、窓の外はもう真っ暗だ…。
うわぁ…お母さん心配してるだろうなぁ…
また変な人に捕まったんじゃないかって。
…まぁ、今のところそれも間違ってないけど…。
「うん。…君、寝顔がとっても可愛くてね?思わず見入っちゃってたよ…」
……ん?寝顔が……
…可愛い?…
……………
…え、…えぇっ!?
な、なんだって!?
いきなりなに!?えっと、あ、とりあえず、なんだ、
「っ…ありがとう…?」
「いやいやぁ、こちらこそ、あの気持ち悪い生物を見たあとの十分な目の保養になったよ。ありがとう。」
「あ…」
その言葉を聞いて、記憶にあの不気味な二つの目が蘇ってきた。
「う…」
よろりと倒れそうになったが、私のところに素早く移動した彼に支えられる。
「…大丈夫?」
「…う…うん…ありがとう…」
運良く手に持っていたオレンジジュースはこぼれなかった。
……あぁ…やっぱりあれは、夢じゃ無かったんだ…。
…本当になんだったんだろう…あの怪物は…
…なんでこの人は…あの出来事がさぞ当たり前かのように、冗談みたいなノリで話せるんだろう…。
そんな私の考えを察したのか、元の場所に戻りながら、彼は話し始めた。
「…ごめんね。いきなりこんなことに巻き込んじゃって…さっきの質問に答えるよ。僕は相馬正人。君と同じ高校の、学年は君より一個上。…それと、ここは僕の家だ。一人暮らしだから、気兼ねはいらないよ。」
そこで、一旦、言葉を切る。
…『巻き込んじゃって』って…それはつまり、自分は、私みたいになにも知らない被害者ではない、っていうことか…?
…てゆか、やっぱり先輩だったのか。だったらタメ口はまずいな。
『一人暮らし』という単語に若干反応しつつ、ストローでジュースをすすりながら話の続きを待つ。
ズズズズズ…
「…それで、君をここに運んだ理由だったね…。…君の名前は、管野ゆり、だよね?」
「!?…はい…。」
…なんで、今日入学したばっかりの私の名前を知っているの?やっぱりこの人、ただの変態なんじゃ…
「君には、あの生物が見えたんだよね?」
「!……」
…また出た。この人、あの怪物について何か知ってるのか…?
「…はい。えっと、相馬…先輩。」
「ん?相馬でいいのに。なに?」
「相馬先輩は、あの生物に関してなにか知っているんですか?」
真剣な顔で先輩の顔を見つめる。すると…
「うん。知ってるよ。」
「……!……。」
…なんで知ってるの…?この人、なんなの?
「なら…教えてください。あれは…一体なんなんですか…?」
「……」
一瞬、喋る事をためらうようなそぶりを見せた。
「…言っても信じないと思うよ?」
困ったような顔で笑いかけてくる。
「…構いません。知りたいんです。」
…長い沈黙が流れる…。
そして。
「…まぁ、いっか…どうせ教えることになるし…」
「え…?今、なんか…言いましたか?」
先輩がボソッとつぶやいたが、なんだろう。聞こえなかった…
続いてその口から出た言葉は、意外な言葉だった。
「あれは…宇宙生物だ。」
第6話目、お読みくださりありがとうございます。
主人公は、菅野ゆりという名前だそうです。
助けてくれた変態もどきは、相馬正人というそうです。
あの怪物は、宇宙生物…!?と、いうそうで…
次回は、もうちょっと詳しくこのお話について掘り下げます。
そして、このお話の意図が判明する回です。
あ、つまり、この話はこういう話なのか!と。
…ついでに、ゆりちゃんがドキドキします。
ぜひ、次回も読んでやってください!
それでは、格孤でした。