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第15話:流れる旋律


どうも、格孤です。


前回のあらすじ。


昼休み、ゆりちゃんは足立さん、美代さんと一緒にご飯を食べていたところ、足立さんから奇妙な話を聞く。

しかしなんとそれは、昨日ゆりちゃんが体験した出来事だった…


今回もまた、超展開です。


では、本編へ!


まさか、昨日のあの出来事をみていた人がいたとは!

いや、でもおかしくはないか。


あのときは動揺してそんなこと考えなかったけど、よく考えたらあそこは普通に街中だし、目撃者がいたことの方が必然で自然だ。


しかし、私だってばれてないことが不幸中の幸い…


「それで?そのあとどうなったの?」


美代さんが先を促す。


本当だったらやめてほしいところだけど、ここで無理に会話を終了させても妙に勘ぐられるだけだ。


「お、やっぱ気になる?私も、気になってそのあとずっと見てたんだけど…」


美代さんが、ゴクリと息を飲み込む。

って、おいおい…すっかりはまっちゃってんじゃん…

かんべんしてよ…


「なんかそれ以来先輩は空中を見つめたまま動かなくなって…最後諦めたように肩を落として、その子を抱えたままどこか歩いて行ったの。気になるから、隠れたままついて行ったんだけど…」


おいストーカー。


「駅からだいぶ離れたとこまで歩いていくと、ある一軒家で立ち止まって、中に入って行ったの。その後こっそり家の表札見たら相馬て書いてあったから、間違いない!あれが先輩の家だ!住所ゲッツ!」


お、おいストーカー!


「え?じゃあその子供も一緒に家の中に入って行っちゃったんですか?」


この質問をしたのは私だ。

状況を知らない人からしてみれば、ごもっともな質問だったと思う。

嘘つきスキルを活かせる職業にでも就職するかな…

思い当たるところ詐欺師しか思い浮かばないけど。


「うん。そういえばそうだったね。でもあのあとどうなったのかまではわからないな…」


「へえ~…最後はあっけないけど、それは確かにすごい体験だったね…」


後ろにのけぞりながら、美代さんがつぶやいた。

弁当を食べる箸はさっきからちっとも進んでいない。


「でしょでしょ!学校で人気の先輩の意外な一面を見れたのだ!も~あそこで相馬先輩は、私の憧れの先輩第一位にランクイ…」


「いやそうじゃなくて、その戦闘みたいなシーンのことよ。それ本当?道路が潰れたりって…」


「え、うん本当だよ!もうあっちこっちがひしゃげてて…あ、放課後良かったら見にいく?」


「ええ、ぜひ見たいよね。というか、なんでそんなことがあったのになにも事件とかにならないのかしら…?」


「た、確かに…」


言われてみればそうだ。


今まで気がつかなかったのが不思議なくらい。

あそこまでの被害が出たんなら、それなりに世間がなんらかの対応をすると思うけど…


未だそんな情報は聞かない。


「た、確かに…それは気になるね。ゆりちゃんは?行く?」


「え、えっと…?」


「伊空が見たっていう、その騒動の現場によ!」


いやもちろん行きたいさ。

興味本位でもあるし、好奇心からでもあるが、自分が受けた被害の大きさを確認しておきたいっていうのもあるし。


…でもなにか行かない方がいいような気がした。

なんらかの手がかりによって私が関わっていることがバレてしまう…なんてことがないだろうか?


しかし私が行かなかったところでバレないなんてことはないだろうし、バレる運命ならば私が行こうが行かなかろうがどっちにせよ同じことだ。

こうなったら選択肢は一つに一つ。


「は、はい…行きます!」


『みなさん、こんにちは。』


…答えると同時に、教室内に放送の音声が響き渡った。


「えっ…」


『新入生の皆さんは始めてですね。昼休みの校内放送です!』


「昼休みの校内放送?こんなのあるんだ。」


「え?伊空の中学はなかったの?」


「うーん…あったかなあ…」


ってわからないのかよ…

3年間かよってた学校のはずだよね?


この放送、明るい声の、元気そうな女の子がしゃべっている。


『今日は、新入生の皆さんの中にも知ってる方は多いと思いますので、先生方にも、生徒たちにも人気の高い、相馬正人副生徒会長を、ゲストとしてお呼びしましたぁ~っ!』


『どうも、皆さんこんにちは。』


「…え?」


一瞬学校内が静まり返ったのもつかの間、次の瞬間、学校中から生徒たちの叫び声が聞こえてきた。


「きゃああー!」

「せんぱーい!」

「かっこい~!」


だとかの女子の黄色い声援や…


「はははは!」

「相馬~!」

「頑張れよ~!」


だとかの、男子たちの笑い声も聞こえてくる。

…男子にも人気あるのか…?


って、副生徒会長!?

そ、そんなにえらい人だったの?

あ、わわわ…


『ははは…皆さんの声が放送室まで聞こえてきてますよ。すごいですね。ありがとうございます。』


黄色い声援を送ってるのは、私の目の前の足立さんも、例外ではない。


「ね、ね!先輩だよ!噂をすればなんとやらだね!すごいね!」


「そ、そうだね…」


先輩だ…

昨日、私に犯罪未遂のことをした。

相馬先輩だ…

わ…わ…


「あれれ~?どしたのゆりちゃ~ん?お顔がまっかっかでしゅよ~?」


「ふえ…?」



顔が赤い?

顔が…熱い…


自分の顔をペタペタ触ってみる。

赤い…

う…


「うわあ~っ!な、な、なんでえっ!?」


「なになに?ゆりちゃん実は先輩のこと好きだったりして?」


「そ、そ、そんなことないよっ!ない…ですよっ!なんで?なんで…!」


「あはは、無理に敬語使わなくてもいいのに~。かわいーなあ」


な、なんでこんな赤くなってんの!?

昨日のこと思い出しちゃったから?

あ、あれは、忘れなきゃ!忘れた方がいいんだ!


いつのまにか、教室のみんなの顔が、放送が流れるスピーカーに向いている。


『いや、それにしても今日は寒いですね…相馬副生徒会長…』


『ははは。そうですねえ~…僕も今日はセーターがなくて、朝寒い中登校してきたんですよ。』


セーター…?


って、あ、あ!

そうだ、私が持ってるんだったっけ!

そうだ、そうそう、一応、もしも会ったときのために洗濯して持ってきたんだったけど…


それは、わ、悪いことしたなぁ…


でもこんなに人気なんじゃ、二人きりであったときにセーター返すなんて、できそうにないなあ…

周りの人になにか勘ぐられるに決まってるし…

どうしよ…


『え?セーターがないって、それはどうして?洗濯中ですか?』


『いやいや、実は、人に貸してるんですよ。』


うっ…?


『貸してるとは!いやはや、先輩がお人好しだっていう噂は本当なんですねえ~。で、誰に貸したんですか?』


途端、全身の毛が逆立った。

一瞬で、全身が硬直した。


えっ…ちょ、ちょ、ちょっとまって。

それ聞いちゃうの?

え、い、言わないよね、先輩?

まさか、全校生徒の前でそんなこと言ったら…


『いえ、それは言えませんよ。言ったら借りた子がかわいそうですからね。』


心の底からほっとした。


だって先輩だから。

さっきのあの生徒たちからの声援、あれがあったせいで、きっと興味がない人でもみんな、この放送に耳を傾けているだろう。


つまり、そのことをバラされるということは学校全体に知れ渡るということで…


ああ…よかった。

さすが先輩!

まさかこれ以上は聞かないよね…

諦めてよ放送してる人!お願い!


しかし、その願いは、次の相馬先輩の発言で見事に打ち砕かれた。


『この学校に入ったばかりの女の子がそんなことのせいで嫌な目にあったら、かわいそうだからね。』


………は?


瞬間、いろいろなところから、叫び声が響いた。

それは、うちのクラスも例外ではなく、さっきまで物静かにご飯を食べていた子達も、「ええー!」だとか、叫んでいる。


うるさすぎて誰がなにを言っているかわからない。


そんな中、私だけは、放送が流れるスピーカーを見つめたままぽかんと間抜けに口を開けて突っ立っていた。


う、ウソでしょ…?




15話、お読みくださりありがとうございます。


かっこいいサブタイトルの割に、しょぼい内容でした。


次回、ゆりちゃんは、全校生徒の皆さんに相馬先輩との関係を知られてしまうのか!?


って、そういえば関係って言っても、知られるとしたらセーターを貸してもらったことだけの気が…


ま、まあ!その辺は相馬先輩がそれほど人気すぎるってことで、大目に見てやってください!


では、格孤でしたっ

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