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ラスト

僕はゆっくり目を覚ます。

頭を上げ、目を開く。


しばらくの間、光が視界を支配する。

瞳を動かし光に抗う。

光は次第に、視界の味方になっていく。



……


現実か……


そう思う反面。

あの空間は、冬の冷たさと春のぬくもりを併せ持つ、人間そのもののような……

 

 

― それから2年後 ―

僕は毎年、桜吹雪を見る。


普段使いの真っ白な机と椅子。

椅子に座ると、正面には窓。



部屋の窓の外では、快晴の舞台を近くの桜の木から離れた花びらたちが舞い踊る。

あの日流した涙を忘れる事はない。


 

「いよいよか……」

つぶやきながら、空間に現れる画面を見つめる。

とあるニュースが目に留まる。

桜文学賞の受賞者が、笑顔でインタビューに応じている少し前の姿。

そのあとには、3年前に発生した大規模なデモ隊に対する政府の対応が静かに流れた。

愛ある時代に嬉し涙が流れ出る。


そんな愛ある時代になり、己への答えが一部出た。

 

理解ある勇者に道案内をし、護り続け次の者が訪れる日に対象を引き渡すこと。

【届ける事】が、僕の役割。


僕が最期を迎える時にどんな人物で終わるのかは分からないが、僕は誰かの苦しみに寄り添い、理解を示すことを許してもらえるのなら寄り添い続けられる人物でありたい。

 

月光で青白く輝く≪世界樹キュベレー•アッティス≫の下で待っています。

 

桜と竹を携えし、世界樹の護侍(ごじ) 篠田 青月(しのだ せいげつ)

   

この世界で生きる、価値観違えど全ての人たちの幸せを願ってこの物語を残します。


この物語に名前を付けるなら。チル

別の名を付けるのなら。ノア


――

 僕はペンをそっと置くと、着物生地を使用した洋服の襟と袖を直す。

現代は、江戸時代を彷彿とさせる洋服と刀の代わりにペンが定着し始めた時代を生きる「座撫来(さむらい)」という仕事をしている。

 

帯にそっとペンを差し立ち上がると、帯の締める強さとペンの差しが甘く、ペンがぽとりと床に落ちる。

そんな他愛もない出来事に下を向き微笑む。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。


 まだまだ魅力に欠けていると思っております。

読者様の正直な、お気持ちで結構です。

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