表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
WARAU―トラウマ、所により集中拡散  作者: 田中葵
後日譚 残党がワラワラと……
16/16

後日談

 動画が世界に衝撃を与え、衆愚の邪念がその圧倒的な虚無に飲み込まれて沈黙した頃。

 B.P.Dが施行される直前の、雪の降る静かな夜。


 田辺翔太と向山パレルは、オフラインで、誰にも知られずに会った。

 豪華なマンションでも、騒がしい学校でもない。どこにでもある、寂れた公園のベンチだった。


「……」

「……」


 二人は言葉を交わさなかった。

 ただ、お互いの目の中に、自分と同じ「底なしの虚無」があることを確認した。


 翔太が、ゆっくりと立ち上がった。

 そして、自分と同じ痛みを抱え、同じ闇を潜り抜けてきたパレルを、力のかぎり抱きしめた。


 それは、恋でも愛でもない。

 世界から「居ない同然」とされた二人が、初めて「そこにいる誰か」の体温を感じた、魂の儀式だった。

 かつて世界をあざ笑った二人の目から、熱い涙がこぼれ、肩を濡らした。


         *


 ローザ・スペンサーとミハエル・クローネンバーグは、

 おもに密航中に、パレルの動向をチェックし続けた。

 その間も行った先々で小さなトラブルを起こしながらも、目的を遂げようとしていた。

 彼らは結局、

 ロシア領の雪原近くの村で捕獲され、縮む身を温めながらうなだれていた。

 そんな中でもミハエルは、報道陣が無慈悲に向けるカメラへ可愛くウィンク。

 直感的にウザがるローザの表情も、同時に収まった……




 彼らはもう、誰かを攻撃することはない。

 ただ、この抱擁の記憶だけを抱えて、これからの「清算」の季節を生きていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ