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ドラゴンを釣り上げよう その2

アナホルトはリナとマキバにまたがったヨルを連れてMEXの視察に来ていた。

すると「アナホルト元首様」とプリシアが声を掛けて来た。


「やあ、チョコレートの評判は…」とアナホルトが言いかけた時、「キャー、何この可愛い娘!!」とプリシアがヨルを抱きしめた。

「ぶ…無礼者!!」とヨルが抵抗するが、プリシアは

ガッチリとヨルを抱きしめて離さない。


「お嬢ちゃん、チョコレート食べるかな?」とプリシアがチョコレートを差し出すが、「われドラゴン(太刀魚)の方が良いのじゃ」と子供扱いされたヨルがねる。

ドラゴン(太刀魚)って?」とプリシアが首を捻ると…何処から来たのか「にゃ にゃ にゃ」と猫獣人が現れ


「第二回釣り大会をおこなうにゃ!!!」と宣言した。



ーーーーーー



魔国の港に集合したアナホルト達は、大型の漁船をチャーターして沖に向かうことにした。

「アナホルト元首よ、今回は朕が優勝するぞ」と皇帝陛下と宰相にジョセフィーヌが釣竿を握りしめる。

王太子のダイタスは公務で来ていない。


「皇帝よ、勝ちたくば俺のしかばねを越えていけ」と魔王が挑発する。

その隣でアリスが「アナホルト様と釣りデートですわ」と、ご主人様呼びをやめさせたら、恋人ポジションを狙ってアナホルトを一本釣りに来ていた。


「ヨルちゃんにドラゴンを食べさせてあげるね」ヨルを抱きしめて参加するのはプリシアだった。


「君に優勝を捧げよう!」「バカ。でも…頑張ってね」と馬鹿っプルの称号に恥じぬカーノセイとジャンヌも乗船してきた。


「ルール説明にゃ。今回は(✴︎)なら全て対象にするにゃ。ドラゴンとクエなら20点、マグロと鰹は10点、鯛とハマチは5点、その他の魚は1点で、一番重い大物を釣り上げた者は200点で計算して、総合得点で争うにゃ」と猫獣人がスタートのホイッスルを鳴らす。

「第二回釣り大会…開始にゃ!!!」



ーーーーーー



最初の当たりは…

「何か来たぞ〜!」

「細長くて綺麗な魚」

とカーノセイとジャンヌが釣り上げた魚を見せた。


「それはキスにゃ。天ぷらが美味い魚にゃ!」と猫獣人がキスは1点と告げる。

「あはは、キスは1点だって!」とカーノセイがジャンヌに言うと、「なら昨夜の私達は100点かしら?」と頬を赤らめた。


「こいつら爆発すれば良いにゃ!!」と言う猫獣人に、一緒に乗船しているメンバー全員が強く頷いた。



向こうで皇帝と宰相の竿が曲がる。

「ハゲにゃ!」と猫獣人が呟くと、皇帝と宰相が頭を撫でながら「誰がハゲじゃー」と怒鳴る。

「御父様も宰相も…少し危ないわね」とジョセフィーヌの冷静な一言に場が凍りつく。

「違うのにゃ。その魚をハゲと言うのにゃ。新鮮なら刺身にできるし鍋も美味いにゃ。特に肝は絶品にゃ」と猫獣人が慌ててフォローした。



「来たわ!」とプリシアも続く。

釣り上がったソレを見て「ドラゴンにゃ」と猫獣人が呟く。

「これがドラゴンなのね!ヨルちゃんやったわよ!!」と釣り上げたソレをヨルに見せる。


「なんじゃ?これは??」とヨルが首を捻ると「シードラゴンにゃ」と告げると3人(匹)で協議し、「ドラゴンには違いないので、シードラゴンは20点にゃ」とプリシアに得点が入った。


そして、皇帝陛下や宰相、魔王達も様々な魚を釣り上げ満足していたが、アナホルトだけがまだボウズ(一匹も釣れていない)だった。


「お兄ちゃん頑張れ!」と前回優勝の余裕から、リナがアナホルトに声援を送る。

すると『ピコン』とアナホルトの脳内に通知音が響く。


すると猫獣人達が何かを察して「ダメにゃ!そのギフトはダメなのにゃ!!」とアナホルトを止めようとするが、「釣れたぞー!大物だ〜!!」とアナホルトの竿が大きく曲がった。


アナホルトが懸命に竿を握ると、船が大きく傾き危うく転覆しそうになる。

「アナホルトのギフトで大人しくさせるにゃ」と猫獣人が叫び「大人しく上がっておいで」とアナホルトが命じると、小山のような背中が船の横に並んだ。


「こ、これは?」と魔王と皇帝が猫獣人を見ると、「アナホルトのギフト【ホエール】で釣り上げたクジラにゃ」と疲れた顔を見せて釣り大会の終了を告げた。




「結果発表にゃー!!!」

「第二回釣り大会の優勝者は…シードラゴンを11匹釣り上げて220点のプリシアにゃ!」と結果を告げた。


「第2位は大物賞のハマチを釣り上げたジョセフィーヌで、205点にゃ」と続けると…「ちょっと待った!」とカーノセイ 注)兄バカ (馬鹿ップル)から物言いが入る。


「大物賞はあのクジラを釣り上げたアナホルトだろう!」と猫獣人に詰め寄る。



すると猫獣人が冷静に


「今回の釣り大会は(✴︎)が対象にゃ。クジラは魚でないから対象外にゃ!」と告げた。



それを聞いたクジラが「グォー」と吠える(ホエール)と沖に帰って行った。



アナホルトはその後ろ姿を見ながら『まさかこのギフトは、このオヤジギャグを言うためだけのものか?』と呟いた。




ドラゴン(太刀魚)は釣れなかったけど、いろんな魚が釣れたからみんなで打ち上げにゃ!!」と猫獣人達が、魚をさばいて鍋や刺身、焼き魚を準備する。



ドラゴン(太刀魚)料理は無かったが、猫獣人達が腕を振るった料理はどれも美味しく、賑やかな打ち上げは夜更けまで続いた。






アナホルトと皇帝陛下、魔王は改めて平和を実感し、この幸せな光景をいつまでも守り続けようと誓い合った。





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