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エピローグ ダークエルフの消滅

ダークエルフの郷では、これまで郷を覆っていた闇が薄れ、日の光が差し始めていた。

「これは、女王エルメストの呪いが解け始めた?」とエルメストの圧政に反発するグループが色めきたった。


このグループは、エルメストの義理の娘『王女プリシア』が率い、魔神の復活を阻止する為に厄災のキノコを密かに処分するなど、エルメストの妨害をおこなっていた。


「義母エルメストが魔神ベルゼブブを復活に成功し、世界は破滅すると危惧しましたが…誰かが魔神を封印し義母エルメストを打ち倒したと言うのでしょうか?」とプリシアが頭を捻った。



そこに「プリシア様ご報告致します」と仲間のダークエルフが魔国での闘いをプリシアに知らせた。

「何と…魔国と王国に加えて獣人にエルフまで参戦して魔神を封印したとは。このままでは、ダークエルフは完全に孤立してしまう」と焦燥感をつのらせた。



ーーーーーー



アナホルト村では、今日も明るく「にゃ にゃ にゃ」と歌声が響く。

「今日も『にゃんこパトロール』ご苦労様」とアナホルトが猫獣人に笑いかけた。

「アナホルト村の平和はにゃー達に任せるにゃ」と猫獣人が胸を張った。


そこに『ピコン』と通知音が響き、魔王からの【コール】(通話)を知らせた。


「アナホルト元首よ、皇帝陛下を伴って魔国に来てはもらえないか」と言う魔王の要請を受けて、エクスチェンジに向かった。

『出来ればエルフの女王ニーベルングにも来てもらえないだろうか?』との依頼もあり、ジャンヌも【コール】(召喚)で呼び出す。


ニーベルングはエルフの郷を離れられないが、使い魔である白いフクロウを使い、ジャンヌに念話を送ることになった。



アナホルトと皇帝陛下にジャンヌが魔王城に着くと、そこには魔王と共に美しいダークエルフが待っており、「この度は、我が郷のエルメストが大変な事をしてしまい、お詫びのしようもございません」と新たなダークエルフの女王と名乗ったプリシアがその場で土下座した。


「二度とこの様な不始末を起こさないので、どうかダークエルフの郷を助けてください」と懇願するプリシアに魔王が冷たく「我が魔国では、ダークエルフへの恨みは強い…」と言い放った。


皇帝陛下は「直接王国に被害が出たわけではないので、魔国に任せる」と突き放す。


するとジャンヌが「よろしいでしょうか?」と発言を求めた。

「エルフの女王ニーベルング様からの願いにございます。今回の件は女王エルメストと一部の取り巻きの独断であり、ほとんどのダークエルフは預かり知らぬこと。元々は同じ一族であったダークエルフを、何とか許していただけないでしょうか?」とダークエルフを擁護する。

「魔界樹はベルゼブブの封印により消滅しましたので、二度と過ちは起こらないとわらわも保証致します」と言うニーベルングの言葉を聞いてプリシアが泣き崩れた。


「だがなぁ〜、国民に何と説明すれば…」と渋る魔王。

「ならば…」とアナホルトが声を上げ、「プリシアさん、ダークエルフと言う名に未練はありますか?」と問う。

「いえ、あまり良いイメージの無い名ゆえ、特に未練と言うものはございません」とプリシアが答えた。


アナホルトがそれを聞いて「女王エルメストに従っていた者たちを最後のダークエルフとして処罰してください。そして、残った者たちと処罰を受けて更生した者達は別の種族として生まれ変わらせましょう」と提案した。


「なるほど、魔神に従っていたダークエルフは消滅し、新しいエルフ族が生まれる訳か」と皇帝陛下がうなずく。


「それならば、我が国民も納得するか」と魔王も賛同する。

ニーベルングもジャンヌを通じて礼を述べると、プリシアが改めてその場にいる全員に頭を下げた。


「それで、新しい種族の名は何とする?」と魔王がアナホルトに尋ねる。

アナホルトはプリシアの褐色の肌を見ながら「そうですね…」と呟くと、最近エクスチェンジで販売を始めた高級菓子を思い出し、「チョコレートエルフなんてどうですか?」と提案した。


「チョコレートエルフ」とプリシアが繰り返し「あの…チョコレートとは何でしょうか?」と尋ねる。

アナホルトが「キャキャーオの実を加工して作る、甘い高級菓子です」と答えると、「キャキャーオなら我が郷にも沢山生えています」とプリシアの顔が明るくなる。


「それなら丁度いいです。チョコレートエルフの郷をチョコレートの産地にすれば、悪いイメージなんて直ぐになくなりますよ」とアナホルトが笑った。


「うむ、響きも柔らかいし分かりやすくて良い名だ!」と皇帝陛下と魔王も賛同し、ダークエルフ族が消滅し、チョコレートエルフ族が新たに生まれることになった。




ーーーーーー



魔国に出来た(大型商業施設)は、魔国のエクスチェンジと言う意味を込めてMEX(エムイーエックス)と名付けられていた。


MEXとエクスチェンジでは、チョコレートエルフの売り子が、チョコレートの売り込みに大忙しだった。

「甘くて美味しいですよー」

「幸せの味がするお菓子はいかがですかー」

と、新たな女王となったプリシアも声を上げてチョコレートを売り込む。


その深みのある甘い高級菓子に、人族も魔族もとりこになるのに時間は掛からず…ダークエルフとのいさかいは過去のものとなった。




「にゃ にゃ にゃ」と警戒する猫獣人と、ドックス村の犬獣人が、チョコレートエルフが売り込むチョコレートに「あれは食べてはいけないお菓子なのにゃ」と尻尾の毛を逆立てる例外を除いて…だが。





チョコレートエルフの郷がチョコレートの産地として有名になり、MEXとの交易を通じて豊かに発展するのは、直ぐ先の未来だった。










基本的に暗い話にはしたくないので、甘々の裁定にしました。まあ、チョコレートだけに…

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