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退かぬ 媚びぬ 省みぬ

早めに鬱展開は打破したいので、サクッとアップします。

天界で女神達がざわついていた。

「嘘でしょ?あのギフトが初めて解放されるの?」

「これまで、何人もの人族に与えられながら、一度も発動したことがないギフトなのに!」

「それを…人ではなく駄馬が?!」

と、大騒ぎだった。



ーーーーーー



ヨルの【コール】に呼び出されたアナホルトは、リナを連れてマキバの元に駆けつけた。


「マキバ、偉かったね。ヨルちゃんを助けてくれたんだね」と立ったまま事切れているマキバをリナが優しく撫でる。


「痛かったよなマキバ…ありがとう。ゆっくり休んで良いよ」とアナホルトがマキバを横たえながら声を掛けた。

『思い起こせば、マキバが居たからハセースルの奥地まで辿り着くことが出来たんだよな』と涙が止まらない。




すると天から『ピコン』と通知音が響き、女神の声で『マキバに与えたギフトが解放されます。この世界で初めて解放されるギフトなので、特別に特典を付けましょう』とアナウンスが流れた。


『ギフト【捨己救人しゃききゅうじん】が解放されます。このギフトにより自己じこを犠牲にして、他者を救った者が救済されます』とアナウンスが流れると、マキバの身体が光に包まれた。


わらわが言ったでしょ?この場にいるもの全員(✴︎ ✴︎)にギフトを与えると…』と女神の声が優しく響き、『だけど…このギフトが解放したのは、全てマキバの滅私の心によるものです。なので、特別にご褒美をあげちゃいますね…』と女神の声が聞こえ…光の中から「ヒヒーン」といななきが響いた。




ーーーーーー



その頃…



魔国は魔物の集団に襲われていた。

「オークが行ったぞ〜。3人で囲め!」

「こっちには魔熊だ。10人でいけるか?!」と、人族と魔族、そして獣人達が連携を取りながら魔物を退治していく。


「アナホルト達が魔神を封印したら、魔物は引き下がるから、それまで持ちこたえろ!」と魔王が劇を飛ばす。

「何言ってんだ。この程度の魔物なら、経験値と素材の回収にちょうどいいぜ!!」とドックス村のピーグル達と、エクスチェンジから来た冒険者が次々と魔物を倒し、気がつけば、めぼしい魔物は全てが退治されていた。



「にゃ にゃ にゃ、われにゃにかかれば、このくらい朝飯前にゃのだ!」と猫獣人達が笑う。

そこに一匹のゴブリンが現れ、鼻の頭を指で弾くと、猫獣人達に向かい手のひらを(おいで)をするように曲げた。


「あ、あのゴブリンは…」と猫獣人が驚く。

スネに7つのきずを持つゴブリンにゃ…」

「にゃらば、我らが『ニャン斗聖拳』で迎え撃つにゃ」

と、猫獣人が「『天も宿命の対決に興奮しておるわ』『退かぬ びぬ かえりみぬ』『我が生涯に一片の悔いなし』にゃ」と叫びながら飛びかかっていく。


だが…この闘いは『いろいろと拙い』と言う、社会的配慮により記録されることはなかった。




ーーーーーー



魔国の闘いが終わりを迎えるころ…



カーノセイはベルゼブブの強烈な攻撃を何とか耐え忍んでいたが、流石に限界が近づいていた。


「おや、大丈夫ですか?反応が遅れ出しましたよ」とベルゼブブが余裕の笑みを浮かべる。

しかし、カーノセイにはそれに答える余裕もなかった。


その時、カーノセイの脳裏に昨日のジャンヌの姿がぎった。

『鍛錬の時のふくれっつらも可愛かったな』とジャンヌの事を思い出すと、何故か力が湧いてきた。

『泥臭くても良いから勝て!』と言ったのは…俺だろう!!と最後の力を振り絞る。


しかし、ベルゼブブの力の前にカーノセイの反撃も通じなかった。

いくら不撓不屈ふとうふくつのギフトがあるとは言え、人である以上は体力に限界はある。

既に、人としての限界を遥かに越えた闘いを続けるカーノセイにも…遂にその時が訪れようとしていた。


『ここまでか…』とカーノセイが膝を折りかけたその時、アナホルトから【コール】が入った。

『兄さん、お待たせしました。ヨルとジャンヌが配置に付きました』


『よし、仕掛けるぞ!!』とアナホルトに返事をして、ベルゼブブに両手を向けた。

「おや、降参のポーズですか?まあ、降参しても…死んでもらうのは同じことですけどね」とベルゼブブがおどりかかる。


その瞬間「ギフト【七重ななえ日輪にちりん】!!」とカーノセイが唱えると、幾重にも押し寄せる光の波がベルゼブブに襲いかかる。


闇の魔神であるベルゼブブは、その光の波を受けて動きが止まる。

その隙を突いて、カーノセイが取り決めた地点に走り込んだ。

それは、ベルゼブブを中心にカーノセイとジャンヌ、ヨルが正三角形になる配置だった。


「宝珠プリズンよ、魔神ベルゼブブを封印せよ」と3人が宝珠プリズンを掲げ、「「「トライアングル キャプチャー!!!」」」と叫ぶ。


すると、ベルゼブブの身体に光の帯が巻き付き、徐々にその姿が光に同化し始める。

これで終わりと思ったその時、ベルゼブブが不敵に笑った。


「馬鹿め。この程度の罠を僕が想定していなかったとでも思ったか」とその腕を振り上げる。

すると…新たな()が塊となり、ベルゼブブの元に押し寄せてくるのが見えた。


「さあ、僕の()達よ。この忌々しい光の帯を断ち切って、僕を自由にしておくれ」とベルゼブブが笑いながら指示する。


すると、()がカーノセイとジャンヌ、ヨルを取り囲み、宝珠プリズンの効果を打ち消そうとする。

カーノセイ達に()に対抗する手段はなく、ベルゼブブの封印も失敗かと思われた…その時




「何だ、あれは?」と空を見上げて最初に口にしたのはベルゼブブだった。





そこには…天馬(ペガサス)またがったアナホルトがカーノセイとジャンヌ、そしてヨルが作り出した正三角形の頂点を目指して、空を駆ける姿があった。





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