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雨雨降れ降れもっと降れ

アナホルトが魔国の地下に避難所を作っている時、カーノセイとジャンヌは魔国の兵士達と共に、押し寄せる魔物と対峙たいじしていた。


「兵士達は魔狼やゴブリンを頼む」とカーノセイが叫びながら「奥の大物は俺たちで引き受ける」とジャンヌを連れて群れの中に飛び込んでいく。


剣神と精霊王の(ギフト)の前に、魔物が次々と斬り倒され、兵士たちに希望が見えかけたその時…


「あれ、生きてたんだ?」と、天使がささやくような甘い声が聞こえてきた。

そして、その横に立つダークエルフが「ニグルがしくじったようです。申し訳ございません」とベルゼブブに頭を下げた。



「お前は…魔神ベルゼブブ」とその美しい少年をにらみカーノセイが断魔の太刀クサナギを向けた。

そして、その横に立つダークエルフに向かい「貴女がダークエルフの女王ですね。エルフの名をけがす貴女は許せません」とジャンヌが対峙たいじした。


ベルゼブブが2人を見て「クサナギの太刀を持っていると言う事は八岐大蛇ヤマタノオロチとニグルを倒したのですか?」と意外そうに呟やき、品定めする様に視線を送る。


「なるほど。『使徒』に目覚めて、剣神と精霊王の(ギフト)を得た様ですね」と得心する。

「ならば、エルフの小娘はわらわが…」とエルメストがジャンヌを睨んだ。



ーーーーーー



「同じギフトなら…貴様などには負けぬ」とカーノセイが叫ぶ。


それを聞いたベルゼブブが「ふ、ふ、ふ…あははは」と鈴を転がすような声で笑い出した。

「この最強の魔神ベルゼブブ様に、たかが『神子の使徒』に過ぎない剣神程度が負けないなどと…」と笑いが止まらない。


「ならば…たかが(✴︎ ✴︎ ✴︎)はえの王(ごと)きがえるな」とカーノセイがクサナギの太刀を構え直す。

「じゃあ、そのはえの怖さを少し教えてあげる。本気だと一瞬で終わっちゃうから…」と無数に控えるはえの集団から大きな玉程度をカーノセイに向けて飛ばした。


「ふん、こんなもの」とカーノセイがそのはえの玉を真っ二つに斬り裂く。

それをニタニタと笑いながら「それで?」とベルゼブブが言うと、真っ二つになった玉が何事も無かったように元に戻った。

いや、正確には足元に何匹かのはえが死んでいたが…それだけだった。


「じゃあ、次はこっちの番だね」とベルゼブブが手を振ると、はえの玉がカーノセイを襲う。

一匹の攻撃力は小さいが、数千匹、数万匹の小さなはえの攻撃は防ぐことが出来ず、少しずつカーノセイの力を奪っていく。


ベルゼブブが、「あれー、この程度でダメージ受けないでよ。暇つぶしにもならないや」と無限に広がるかの様に後ろに控える闇を見る。

「龍王ヨルムンガンドだろうが、神の神子だろうが、僕の無限のギフトには敵わないんだから」と笑った。


確かにいくら太刀を振り回しても、一度に倒せるはえは数十匹にしか過ぎず、剣神のギフトはベルゼブブとの相性は最悪と言えた。


身体中がはえに覆われて、目も開けられないカーノセイだったが、近くで…『エアシールド』と声が上がり、風の膜がカーノセイを取り巻きはえが吹き飛ばさた。

「もしかして、苦戦中かしら?」とジャンヌがカーノセイに尋ねた。

「悔しいが…その通りだ」とカーノセイが答えると、「あら、奇遇ね。実は私もなの」とジャンヌがおどける。


「「ならすべき事は」」と2人の声が揃い、カーノセイがエルメストに斬りかかるのと同時に、ジャンヌがベルゼブブに魔法を放った。




ーーーーーー



時は少しさかのぼ



「エルフの誇りを無くしたダークエルフよ。我等が女王ニーベルング様に成り替わり、貴女に女神の裁きを与えます」とジャンヌがエルメストを睨む。


「あら、精霊王程度の(ギフト)わらわに通用すると思っているのかしら?」と挑発する。



「ならば喰らいなさい!『精霊魔法エアカッター』」とジャンヌが精霊魔法を繰り出すが、「『闇の精霊魔法エアカッター』」とエルメストも反撃する。

しかも、かつてニグルと戦った時と同じように、精霊の全ての魔力をむしり取る『闇の精霊魔法』が、精霊達から少しずつの魔力を分けてもらう精霊王の魔力を上回っていた。


「全ての精霊から少しずつ魔力を分けてもらうだと?そんな甘い考えで、全ての精霊から魔力を全て取り上げるわらわの魔力に敵うと思うな!!」とエルメストの魔法がジャンヌに炸裂し、ジャンヌが吹き飛ばされた。


そして、吹き飛ばされた先にいたのは、全身をはえで覆われたカーノセイだった。

ジャンヌは咄嗟とっさに「エアシールド」と魔法を唱えると、カーノセイに話しかけた。



ーーーーーー



カーノセイに斬りかかられたエルメストは、その切っ先をかわしながら、呪文を唱える。

しかし、カーノセイの攻撃に魔法の詠唱が間に合わず、徐々にベルゼブブの所まで押し込まれた。


劣勢になったエルメストがベルゼブブに声を掛けた。

「ベルゼブブ様…ケルベロスを出しても良いでしょうか?」と尋ねると「いや、今日はここまでかな?神子が嫌な(ギフト)を使いそうだ」と魔国の方を見て呟いた。


ーーーーーー



ジャンヌは、ベルゼブブが放つはえの玉に『ファイヤーウォール』と炎の壁で一気にはえを退治する。

「さっきの剣神より歯応えがあって良いね」とベルゼブブが、その美しい笑顔を見せた。


「じゃあ、少し大きめにするよ」とさっきの玉の10倍くらいのサイズのはえ玉を操った。

しかも、今度のはえ玉は、ジャンヌが唱えた『ファイヤーウォール』を軽々と回避した。


ジャンヌは内心でその動きに舌を巻きながらも「やはりはえなんて大した事ないじゃない」とベルゼブブを挑発した。

すると、ベルゼブブの顔が真っ赤になり「そんなに死にたいなら、これを喰らうといいよ」と後ろに控える全ての()に手を向けた。



そこに、カーノセイから逃げてきたエルメストが、『ケルベロス』の召喚を願ってきた。

ベルゼブブが冷静になり、ふと魔国の方を見るとアナホルトが空に向かって両手を上げるのが見えた。



「【コーウ】(降雨)」とアナホルトが唱えると、ベルゼブブの周辺に雨が降り出し、闇に雨粒が当たり出した。

それでも耐える闇を見て「【コーウ】(降雨)から(豪雨)に昇華」とアナホルトが唱えた。

すると、大粒の雨が()を叩き落とし、闇が薄れてきた。





それを見たベルゼブブが、「今日はここまでかな?神子が嫌な(ギフト)を使いだした」とエルメストに告げると、2人の身体は闇に消えていった。




そして、闇が消え雨が降り注いだ空には、大きな虹が掛かっていた。









※現時点のギフト

ホール(穴掘り:空間含む)レベル4

    (ほーる)

   (集会所)レベル2

   (亜空間倉庫)


※派生ギフト

ホールド(保持)

ボール(球)

ウォール(壁)レベル2

ウール(羊毛:用途)

ポール(柱)

ロール(回転)

   (役割)

ファーム(農業)

オール(全て)(操舵)

エール(応援)

ホーリー(聖魔法)

ホーイ(方位)

   (包囲)

モール(大型商業施設)

   (もーる)

ホーム(拠点)

   (家)

   (プラットホーム)

   (帰郷)

レール(軌条きじょう

コール(こーる)

   (通話)

   (召喚)

ホーニュウ(豊乳)…注)封印

フォーム(形状)

トール(雷神)…注)使用制限有り

ホーク(鷹の目)

オーム(電気抵抗)(電磁場)

ホーキ(放棄)

フォール(秋)

コーウ(降雨)

   (豪雨)




※レベル特典

二重起動


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