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戦士の休息

魔物の襲撃を撃退したアナホルト達は、村の温泉に来ていた。


兄弟水入らずで汗を流そうと、アナホルトとカーノセイが一緒に温泉に入ることにした。

温泉に浸かると「ふー気持ち良い」と一息吐いたカーノセイが『ありがとう ぬくもりを』と(自分は不器用ですから…と言い出しそうな雰囲気で)呟いた。


「この村とこの温泉だけでも驚きなのに、トンネルに蒸気機関車、それに流星、極め付けはエクスチェンジか…本当にアナホルトは凄いな」と注)兄バカをフルスロットルでカーノセイがアナホルトをたたえた。


「たまたま、女神から授かったギフトが良かっただけですよ」とアナホルトが謙遜けんそんするが、「もし俺が同じギフトを授かっていたとしても、アナホルトと同じような物を作り出すのは無理だ。本当に、父上はアナホルトのどこを見ていたのか…」とノービル辺境伯の判断を悔やむ。


「父上を許すつもりはありませんが…兄上が辺境伯となられたら、ノービル領とエクスチェンジをトンネルで繋ぎましょう」と固く誓い合った。


そこに…

「アナホルトよ、今こそわれに【ホーニュウ】(豊乳)をほどこすのじゃ」と幼女のヨルが乱入し、「ヨルちゃんだけズルい。お兄ちゃん私も〜」とリナも入ってきた。


そして、その2人を追いかけてジャンヌと、何故か皇女ジョセフィーヌにアンナまでが乱入してきた。



ーーーーーー



何とか温泉のドタバタを収め、皆んなで夕食を食べることにした。

「にゃ にゃ にゃ 秋刀魚も鰹もドラゴン(太刀魚)も、新鮮な魚介類が揃っているのにゃ」と猫獣人が胸を張った。


「もちろん…われドラゴン(太刀魚)を食べるのじゃ」とヨルが叫ぶと、リナが「私は秋刀魚が好き」と可愛く注文した。


ドラゴン(太刀魚)とは?」

「秋刀魚?鰹?」

と首を捻るカーノセイとジャンヌ。


そこに「は塩カツオのタタキを頂こう」

「私はポン酢のカツオタタキを頼む」

と皇帝陛下と宰相が乗り込んできた。


「先ほどジョセフィーヌも来ましたが、皇帝陛下に宰相まで…」とアナホルトが驚く。

「それに、アンナもいましたが?」とたずねる。


「今後の魔国の支援について魔王と話し合うためにエクスチェンジに来ておったのじゃ。そこで避難してきたアナホルト村の住民から危機を聞きつけて慌てて皆でやって来たのじゃが…無事に終わったようじゃな」と皇帝がアナホルトをねぎらった。


その後から「アナホルトよ、アンナに不埒ふらちなことはしておらぬな?」と皇帝に連れられた魔王がアナホルトを睨みつける。


そして、アナホルトに抱っこされたヨルに目を向けて、「ヨル様が海竜に命じて下さったおかげで、魔国でも漁が再開致しました。ただ、大型の魔物が暴れていたため、めぼしい魚が逃げ出して漁獲量は少ないのですが、これから回復を見込んでおります」と皆んなの前に並んだ魚介類を見ながら頭を下げた。


「たまたま海竜が居たから命じただけなのじゃ。今度魔国に行った時に、ドラゴン(太刀魚)の塩焼きを用意してくれたらそれでいいのじゃ」とヨルがアナホルトの腕の中で答える。


「塩焼き…にございますか?恐れながら、バターたっぷりのムニエルこそが最上と存じますが…」と魔王が答えると、「それはどのような味なのじゃ?えーい、アナホルトよ。今すぐ魔国に行くのじゃ」とヨルが暴れ出した。


アナホルトがヨルを抱き直して「今は魔国ではドラゴン(太刀魚)が無いし、バターも手に入らないよ。明日にでも、エクスチェンジの食堂で作ってもらおうね」となだめた。


その日は、魔物の襲撃を退けた喜びに加えて、思いがけない来客があり、アナホルト村の賑わいは夜更けまで続いた。



寝室に入り込もうとするリナやヨル、ジョセフィーヌにアリスを何とか押し留めて布団に潜り込んだアナホルトに『ピコン』と通知音が響く。


『魔物の襲撃を撃退し討伐数が規定を大幅に超過しました。【コール】に派生解釈(召喚)が追加されます。【ホーイ】に派生解釈(包囲)が追加されます』のアナウンスを聞きながら眠りについた。



次の日、皇帝陛下達と魔王にアリスは今後の支援と交易について合意し帰って行った。

カーノセイも、いつまでも領地を離れられないため、一度帰ることになった。

ノービル領までは、線路はないがドックス村から魔の森の境までのトンネルを使いカーノセイも帰って行った。


ジャンヌはエルフの郷までのトンネルが無く、アナホルトの護衛の名目でアナホルト村に残ることにした。






その日の昼、エクスチェンジではヨルが綺麗に食べ終えた2つの皿を見つめて悩んでいた。

「塩焼きはドラゴン(太刀魚)の素材の味を楽しめる一品なのじゃ。しかも、炭火でじっくり焼かれ、香ばしさの上にホロホロとほぐれる身に醤油と柑橘系の酢が合わさって…もはや至高の一品なのじゃ」と恍惚とした目を一つの皿に向けた。


「じゃが…」ともう一つの皿を見て「このムニエルと言う料理には無限の奥行きを感じるのじゃ。白身の蛋白な味わいに、バターの風味が加わることで、蛋白でありながらも濃厚と言う、得も言われぬマリアージュをかもし出しておる。これは至極の一品なのじゃ」と至福の表情を見せた。


「何を悩んでるんだい?」とそんなヨルにアナホルトが声をかけた。

するとヨルが泣きそうな顔で「われの身体では3食を食べるのが限界なのじゃ。最後の一皿を…塩焼きにすべきか…ムニエルにすべきか…それが問題なのじゃ!!」とシェイクスピアも『知らんがな』と裸足で逃げ出しそうな悩みを打ち明けた。


アナホルトは『出来ればこの幸せが少しでも長く続くように…』と願わずにはいられなかった。




ーーーーーー





それから暫く経ったある日、魔国の少女が魔の森を見て呟いた。



『お父さん怖いよ。何か来るよ。大勢でお父さんを…』













※現時点のギフト

ホール(穴掘り:空間含む)レベル4

    (ほーる)

   (集会所)レベル2

   (亜空間倉庫)


※派生ギフト

ホールド(保持)

ボール(球)

ウォール(壁)レベル2

ウール(羊毛:用途)

ポール(柱)

ロール(回転)

   (役割)

ファーム(農業)

オール(全て)(操舵)

エール(応援)

ホーリー(聖魔法)

ホーイ(方位)

   (包囲)

モール(大型商業施設)

ホーム(拠点)

   (家)

   (プラットホーム)

   (帰郷)

レール(軌条きじょう

コール(こーる)

   (通話)

   (召喚)

ホーニュウ(豊乳)…注)封印

フォーム(形状)

トール(雷神)…注)使用制限有り

ホーク(鷹の目)

オーム(電気抵抗)(電磁場)

ホーキ(放棄)

フォール(秋)




※レベル特典

二重起動


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