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これぞ王道テンプレ詰め合わせ

ゴブリン退治の翌朝、早速【ホール】(hall 集会所)を試して見る。

いつものように手をかざし「ホール(集会所)」と唱えると、六畳一間程の平屋の小屋が出現した。

『今までホール(穴掘り)の魔法で消えていた木や土は、この小屋の原料になっているのかな?』と、何もない所に出現した集会所(小屋)を眺める。


『この集会所(小屋)があれば、穴を掘って野営する必要はなくなるかな』と考える。

『それに、目的地に着いた時に住む場所にも困らなくて済むかも』とハセースルの地に着いてからの生活にも思いをせる。


ホール(集会所)の魔法を解除し、集会所(小屋)を片付けて出発をする。

「ホール(穴掘り)」と唱え、薄い溝を掘って埋め戻し、「ホールド」を掛けながらハセースル山脈のふもとを目指し歩き続けた。




魔の森に入って一月程が経過すると、私もマキバもこの旅にも慣れ、時々襲ってくるゴブリンやオオカミを魔法で倒しながら足を進める。

いつものように魔の森を突き進んで、ホール(集会所)で休む私に『ピコン』とアナウンスが鳴る。

『ギフト使用数が規定に達しましたので、【ホール】の派生魔法【ウォール(壁)】が解放されます。


次の日、新しい【ウォール(壁)】を試してみる。

この魔法に関しては、壁が出来るのは直ぐにわかるが、どの程度の高さと厚さがあるかは検証する必要がある。

また、ホールド(保持)との相性も要確認となる。


結果は、厚さはあまり無いが高さは5m程あり、普通の魔物では乗り越えるのは難しいだろう。

また、ホールド(保持)により強度も十分だと思われた。

これで、六畳の部屋でマキバと寝ていた現状が改善できる。マキバは大好きだが、それとこれは別問題と割り切り、今晩からマキバには外で寝てもらおう。




そんな感じで魔の森を切り開きながら歩き続け、明日にもハセースル山脈の麓に着くかと思われた時、前方から「キャー、助けて〜」と悲鳴が聞こえてきた。


「マキバ、こっちだ」と手綱を引き、悲鳴がした方に駆けつける。

すると、そこには体長が2mを超えるような豚に似た魔物が女の子に襲いかかる寸前だった。


『あれが、オークと言う魔物か』とその醜悪な身体を見ながら「ファイヤーほーる」と炎の球を投げ付ける。

狙い通り炎の球がオークを捉えるが、巨体のためかダメージは少ない。

しかし、攻撃を仕掛けたことでオークの関心は女の子から私に移る。

「マキバ、今の内に女の子を連れて逃げろ」と指示をすると、マキバが任せておけとばかりに「ブルルン」と顔を振る。


話が通じたかはわからないが、今はオークの動きから目が離せない。

とりあえず女の子はマキバに任せて「オーク、こっちだ」ともう一発炎の球をほーり投げ、女の子が倒れている方と逆方向に走り出す。

すると、オークが雄叫びを上げて私を追いかけてきた。


オークは無茶苦茶に腕を振り回しながら私に迫る。その巨体から繰り出される腕は、巨木すら薙ぎ倒して止まる気配がない。

少しでもかすれば致命傷になりそうな攻撃に、私はただ逃げるしか出来ない。


だが、しばらく逃げ続けるとオークに疲れが見え始める。私はそのチャンスを逃さず、両手をオークの立つ足下にかざす。

「ホール(穴掘り)」と魔法を唱えると、それまでオークが立っていた地面が消え大きな穴が開く。

「ガァ〜〜」と声にならない雄叫びを上げながら、オークは穴の中に落ちていった。


穴の底をのぞくとオークが這い上がろうともがいていた。

その姿を見ながら『生き埋めでもいいけど魔石が取り出せなくなるかな?』と、どうやってオークに止めを刺すか考える。

『どうしようかな?ファイヤーほーるは効かないし・・・』

するとそこにマキバが台車を引きながら近寄って来た。

私はその台車の荷物を見て『そうだ、これなら』と槍を手に取った。


そう。魔法が効かないなら物理で攻撃するのは異世界テンプレだ。

炎の球をほーる代わりに、オークにめがけて槍をほーることにした。

一応【スピアほーる】と魔法を唱え力いっぱいに槍をほーると、逃げ場のない穴の底でオークが串刺しとなって倒れた。


その時『ピコン』と脳内に音が鳴り響き『高レベルの魔物討伐ボーナスとして【ホール】(穴掘り)の対象に『空間』が追加されます。また【ホール】の『二重起動』が可能となりました』とアナウンスが流れた。


私は『空間に(穴掘り)?それに『二重起動』って何?』と意味がわからず頭を悩ませる。

とりあえずやってみようと何もない空間に【ホール(穴掘り)+(集会所)】と魔法を二重に被せるようにイメージしながら唱えるとその空間が渦巻きのように波打った。

何と言うことでしょう。そこに現れたのは、異世界ものでは欠かせないアレ・・・

そう、異次元収納が現れたではないですか。

『容量はいつもの小屋と同じサイズだが、とりあえず6畳分の異次元収納機能があれば充分」と喜んだ。


そして『もしかして、ここに【ホールド(保持)】も被せたら、夢の時間停止か?』と試してみると『ピコン。現時点では三重起動のレベルに達していません』とアナウンスが流れる。

と言うことは、これからレベルをあげれば空間のサイズも大きくなるし、保持(時間停止)も追加できるってことか、と拳を握り締め、やっと異世界開拓のテンプレになってきたぞ~と喜びが隠せない。


そうそう、テンプレと言えば・・・と不意に襲われていた女の子のことを思い出す。

「マキバ、あの女の子はどうした?」と尋ねると、マキバの陰からうさぎ耳の女の子が顔を出した。

『どこまでも異世界テンプレが続く~』と興奮が収まらない私だったが、かろうじて冷静さを保ちながら「お嬢さん、もう大丈夫ですよ」と優しく話しかけた。



※現時点のギフト

ホール(穴掘り:空間含む)レベル3

    (ほーる)

   (集会所)


※派生ギフト

ホールド(保持)

ボール(球)

ウォール(壁)


※レベル特典

二重起動


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