I'll be back
ベルゼバブをベルゼブブに訂正しました
「これが世界樹…」
カーノセイとジャンヌは、あまりにも巨大で神々しいその巨木を前に立ちすくんだ。
暫くは言葉も出ない2人だったが、カーノセイが「それで『宝珠プリズン』と言うのはどこにあるんだ?」と尋ねた時、世界樹が光に包まれ2人の頭に言葉が流れ込んできた。
『試練を越えてこの地に降り立つ『使徒』に、この『宝珠プリズン』を授けます』
すると、カーノセイの手に2個、ジャンヌの手には1個の宝珠があられた。
『宝珠の一つは龍王ヨルムンガンドに渡しなさい』と再び声が流れ、『女神の神子』の地に災いが近づいています。急ぎなさい』の言葉が流れると、カーノセイとジャンヌの身体が光に包まれた。
2人が目を開けると、そこはエルフの郷の入り口だった。
2人は慌てて女王ニーベルングの元に駆け込んだ。
「兄さん、無事だったんだね。ジャンヌも…」とアナホルトが2人を出迎える。
「もちろんだ。お前を残して一人で逝くわけないだろう」とカーノセイが新婚家庭か?と思わせるような事を言う。流石は、注)兄バカだ。
ジャンヌが「ニーベルング様、無事『宝珠プリズン』を持ち帰りました」と報告し、3個の宝珠を見せた。
「世界樹様より、私達と龍王ヨルムンガンドが一つづつ持てと啓示を受けました」と報告すると…
「世界樹と駄女神め。我を巻き込むつもりか」と腕を組んで宝珠を見つめる幼女がいる。
カーノセイが「このお嬢ちゃんは?」と恐る恐る尋ねると、「戯け。この偉大なる龍王ヨルムンガンド様にお嬢ちゃんじゃと!!」と地団駄を踏みプリプリと怒る。
それを温かい目でアナホルトが見つめ、「じゃあ、ヨルも一つ持とうね〜」と抱っこする。
「アナホルトまで、我を幼女扱いするでないわ〜」と抱っこされたまま手足をばたつかせた。
「ところで…」とジャンヌが話を切り出す。
「世界樹様より、神子様の地に災いが近づいているので急ぐように啓示を受け、ここまで転移させられました。こちらは無事でしょうか?」
アナホルトが慌てて【ホーク】(鷹の目)で周囲を確認する。
そのまま、魔の森の中央に意識を飛ばしてエクスチェンジ、アナホルト村へ範囲を広げた。
すると、無数の魔物の群れがアナホルト村に迫る映像が流れ込んできた。
「大変だ…。アナホルト村に魔物の群れが押し寄せている。直ぐに皆んなを避難させないと」と慌てる。
その時『ピコン』とアナホルトの脳内に通知音が響く。
『村の危険を感知しました。【コール】(凍る)に派生解釈(通話)が追加されます』
アナホルトは急いで、アナホルト村にいるバーモント村長とリナに【コール】(通話)を繋げる。
『村長、村に魔物の群れが押し寄せています。直ぐに避難をしてください』
いきなり頭の中にアナホルトの声が響き、バーモントとリナは驚くが、落ち着いた後の対処は早かった。
もともと、村の家には避難用の地下道が整備されており、【プラットフォーム】(駅)に繋がっているため、住民の避難は程なく終了した。
ーーーーーー
その少し前、魔神ベルゼブブはエクスチェンジにいた。
『この施設を神子が一人で作ったと言うのか…。しかも、この力が【ファール】(ルール違反)でないとは…。女神め、僕の復活を察知して準備していたな?』と周りを見渡した。
『しかも、隅々まで光苔に照らされているから、僕の『闇の魔法』が使えない上に、地下では魔物に襲わせることも出来ない。備えは万全と言うことか…』とその美しい顔を歪める。
『仕方ない。神子が大切にしていると言う村を潰して、その後は地表にある王国と魔国を蹂躙するか。しかし…この世界を支配するのは思っていたより苦労しそうだな』とエクスチェンジから魔の森に出る。
『魔の森の魔物達よ、僕に力を貸しておくれ。この先にある村を皆んなで踏み潰すんだ』と魔物を嗾けた。
そして、『これだけの力を持つ神子相手に、力を分散しては勝てないかも知れないな。仕方ない、本体に合流するか』と、魔界樹に向かって歩き出した。
ーーーーーー
住民の避難が完了した事をバーモント村長から【コール】(通話)で報告を受けたアナホルトだったが、このままでは村が壊されてしまう。
アナホルト村は、アナホルトにとって初めて整備した村であり、思い入れは一入だった。
『何とか村を救いたい』と悩むアナホルトだったが、「ここからでは、どんなに急いでも村まで5日はかかります」と言うジャンヌの言葉に、アナホルトがその場で崩れた。
そんなアナホルトを抱き上げ「今お前がすべき事は何だ!お前が作った村はそんなに弱い村なのか?」と、カーノセイ 注)兄バカ の叱責が飛ぶ。
「そうなのじゃ。アナホルト村の堀と【ウォール】(壁)の守りは鉄壁なのじゃ」とヨルが続く。
『そうだ。私が今すべき事は、一刻も早く村に帰る事だ』と力強く前を向いた。
その時『ピコン』と通知音が響き、『ギフト保持者の強い望郷の願いを感知しました。【ホーム】に派生解釈(帰郷)が追加されます』
そして…アナホルトとカーノセイとジャンヌが郷の広場に立つ。
その隣にはマキバに跨り(何故か右手を上げて小さな親指を立てた)ヨルがいた。
「【ホーム】(帰郷)」と力強い声が響き、全員の身体が光に包まれた。
その瞬間、ヨルが「アイル ビー • • •」と言いかけたが…その声を聞いた者はいなかった。
※現時点のギフト
ホール(穴掘り:空間含む)レベル4
(放る)
(集会所)レベル2
(亜空間倉庫)
※派生ギフト
ホールド(保持)
ボール(球)
ウォール(壁)レベル2
ウール(羊毛:用途)
ポール(柱)
ロール(回転)
(役割)
ファーム(農業)
オール(全て)(操舵)
エール(応援)
ホーリー(聖魔法)
ホーイ(方位)
モール(大型商業施設)
ホーム(拠点)
(家)
(プラットホーム)
(帰郷)
レール(軌条)
コール(凍る)
(通話)
ホーニュウ(豊乳)…注)封印
フォーム(形状)
トール(雷神)…注)使用制限有り
ホーク(鷹の目)
オーム(電気抵抗)(電磁場)
ホーキ(放棄)
フォール(秋)
※レベル特典
二重起動




