乙女の祈り
アナホルトとハンマオが『赤い流星』の製作に奮闘していたのと同じ頃、ハセースル山脈と魔の森に阻まれた隣国『魔国』は、数百年に一度のレベルの旱魃に見舞われていた。
季節が止まり、いつまでも真夏の日差しが大地に降り注ぐ。大地は干上がり、作物は枯れ果て、海は大型の魔物と海竜が暴れ回っていた。
人々はその日食べる物すらまともに手に入らず、辛うじて魔法で生み出した水を飲み飢え苦しんでいた。
「魔王様、このまま真夏の気候が続けば、国民は全て飢え死にしてしまいます」と悲痛な声で臣下が告げる。
「しかし、どうすれば…」と魔王が頭を抱える。
魔国の住民は、多少の魔法が使えることから魔人と呼ばれているが、平和を願う温厚な国民ばかりだった。
魔王も、魔国の王としての称号であり、平和主義の賢王として魔国を統治していた。
頭を抱える魔王を見て、1人の美しい娘が決意する。
『私が国民とお兄様を助ける』
その夜、1通の書き置きを残し魔王城を抜け出した娘は、固く唇を噛み締めハセースル山脈を目指して歩き出した。
『さようなら、魔国の皆さん。さよなら、お兄様』と流れる涙を拭うことも忘れ、ただひたすら歩き出した。
次の日の朝
「魔王様、大変でございます」とメイドが駆け込んできた。
「アンナ様が書き置きを残して城を出て行かれました」と慌てて告げる。
「何、妹が城を出ただと?」とメイドから書き置きを受け取る。
そこには
『お兄様、勝手な振る舞いをお許しください』との書き出しから、『我が身を龍王ヨルムンガンド様に捧げて、魔国の危機を助けてもらいます』と記されていた。
「バカな…誰か妹を追いかけれぬか?」と臣下を見渡すが、執事のセバスチャンが「アンナ様は魔国一の魔法の使い手ゆえ、誰も追い付けぬでしょう。それに、アンナ様以外の者では、魔の森を進むこともできますまい」と目頭を押さえた。
ーーーーーー
魔の森に分け入ったアンナは、得意の隠蔽魔法で身を隠しながら魔の森を進んでいく。
『オーガなら倒せるけど2匹は無理ね。見つからないようにやり過ごさないと…』
やがて、ハセースル山脈の麓に辿り着くが、ハセースル山脈の頂を見上げると、絶望感に襲われそうになる。
『しっかりしないと。何とか龍王ヨルムンガンド様を見つけて、我が身と引き換えに魔国を救って頂かないと』と魔国の民や兄の面影を偲び、その歩を踏み出した。
だが、ハセースル山脈の魔物の前にはアリスの隠蔽魔法も通用せず、一匹の魔物によりアリスの身体は連れ去られていった。
ーーーーーー
「我は少しの間寝ぐらに戻ってくる」とヨルがアナホルトに告げる。
「何か用事かい?」と尋ねると、「しばらく帰っていないから、魔物の様子を確認してくる」とのことだった。
『別にそのまま帰って来なくても…』の言葉を飲み込んで「気を付けてな」と送り出した。
そんな私をジト目で睨み「直ぐに帰ってくるのじゃ」と龍王ヨルムンガンドの姿に戻ると飛び立って行った。
ハセースル山脈の頂に戻ったヨルムンガンドが、配下の魔物に『我が留守の間にかわっことはなかったか』と尋ねる。
「はい、何やら変わった人族がヨルムンガンド様を探して彷徨いておりましたので、縛って牢に放り込んでおります」と報告してくる。
「なんじゃ。我を討伐して名を上げたい冒険者でも来たか?」と笑う。
「どれ、どんな奴が来たか顔を見てやろう」
『う〜ん。どう見ても冒険者には見えんな?』と牢で気絶しているアリスを眺める。
すると、その気配で目を覚ましたアリスがヨルムンガンドを見た瞬間に土下座をした。
「その高貴なるお姿は龍王ヨルムンガンド様と存じます。何卒、我が身と引き換えに願いを叶えて頂けないでしょうか?」と平伏したまま願い出た。
「いや、其方の身体なぞ要らんのじゃが。くれるならドラゴンにして欲しいのじゃ」と言うヨルムンガンド。
それを聞いたアリスは
「え?ドラゴンって何ですか?」と聞くのが精一杯だった。
※現時点のギフト
ホール(穴掘り:空間含む)レベル4
(放る)
(集会所)レベル2
(亜空間倉庫)
※派生ギフト
ホールド(保持)
ボール(球)
ウォール(壁)レベル2
ウール(羊毛:用途)
ポール(柱)
ロール(回転)
(役割)
ファーム(農業)
オール(全て)(操舵)
エール(応援)
ホーリー(聖魔法)
ホーイ(方位)
モール(大型商業施設)
ホーム(拠点)
(家)
(プラットホーム)
レール(軌条)
コール(凍る)
ホーニュウ(豊乳)…注)封印
フォーム(形状)
トール(雷神)…注)使用制限有り
ホーク(鷹の目)
オーム(電気抵抗)(電磁場)
ホーキ(放棄)
※レベル特典
二重起動




