大きいことは良いことだ
ドラゴンの塩焼き定食を食べ終えると、皇帝陛下が龍王ヨルムンガンドに話しかけた。
「ヨルムンガンド様、先程ハセースル魔境伯が言っていた事は誠でしょうか?」
「我のことはヨルと呼ぶが良い」と前置きし、「女神の考えは我には解らぬが、魔の森の役割は概ね合っておる」と頷く。
そして、皇帝と宰相を強く睨み「我も魔物ゆえ、魔の森の魔素を必要としておる。なので、魔の森を害する者があれば我が排除すると心得よ」と告げる。
皇帝と宰相が跪き「ヨル様に逆らう事は決して行わぬと誓います」と宣言した。
ヨルが2人に「普通の開拓や、魔物の討伐は間引きになる故推奨するが良い。常に魔の森への感謝を忘れぬように」と言うと私の方を見る。
「まあ、我が出なくともアナホルトの【トール(雷神)】が解放されれば、万の軍勢でも敵わぬであろうがな」と笑う。
「何と、ハセースル魔境伯にその様な力が…」と驚く皇帝。
「【トール(雷神)】は神の力。我でも敵わぬ」と私を観察するように眺め、「だが、強大すぎる力ゆえ、厳しい制限がかかっておるな」と私の全てを見透かすように呟く。
「さて、我は『ドラゴンの塩焼き定食』をもう少し食すとしよう」と手を上げた。
しかし店の従業員から「売り切れで〜す」と声が響く。
「なんじゃと〜。ならば我は今日からアナホルト村に住んで、毎日ここに来るのじゃ〜」と騒ぐ。
それを見た私は、『1人5食まで』の看板を設置する事を決めた。
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ヨルが落ち着いた所で皇帝との話し合いを行なう。
「ハセースル魔境伯よ、人族の商人がこの【モール(大型商業施設)】に出店し、また買い付けをする事は可能か?」と皇帝が問う。
「それは構いませんが、条件があります」と一枚の紙を取り出す。
そこには
•駅に衛兵を置き、通行は王国の許可証を持つ者だけとする。
•1日の来場は最大で200人までとする(蒸気機関車の定員)
•支払いは魔石通貨で行なう。
•冒険者がここから魔の森に入る場合はB級以上の実力がある事とする。また、生死は自己責任とする。
•犯罪行為があった場合は、ここから地上に追放する。
•子供を連れてきた場合、その子供の滞在費と食費は無料とする。
の6箇条を示している。
それを見て「ここにギルドを設置することは出来るか?」と宰相の問いに「もちろん大丈夫です」と答え、「家賃は1ヶ月5万ブリンでいかがですか」とギルドの設置が決まった。
「他にも、ここに店舗を希望されるなら、常設するなら同じく1ヶ月5万ブリンですが、空きスペースの露店などは1日100ブリンです」と告げる。
「安すぎないか?」と聞かれるが、儲けるつもりはなく交流の為、と説明する。
次の「犯罪行為の罰則だが…処分が甘くないか?」と皇帝が尋ねる。
「この場所は魔の森の奥地にあります。ここから地上に追放とは、魔の森を抜けて街に帰れと言う事なので…事実上の死刑判決となります」と冷たく答えた。
「さ、最後の部分じゃが…」と私の冷たい声に慌てたように宰相が尋ねる。
「あぁ、それは子供達にこの場所に来てもらい、獣人達との交流や、魔の森を肌で感じてもらいたいと言う事です。それと、子供を残しては親も心配でしょうから、託児と宿泊用のスペースも併設しています」と、将来を見据えた提案を行う。
「それは良い。我が子も勉強の為、ここを体験させるとしよう。しかし、其方は朕よりも善政を施しておらぬか?」と、やっと皇帝陛下に笑顔が出た。
「ところで、この施設に名前はないのか?」と皇帝が尋ねる。『特に決めていない』と答えると「それはいかん」と腕組みし「これからは、交易を意味する『エクスチェンジ』とするが良い」と名を決めた。
その後、エクスチェンジ内を歩いていると「あの店に布団があるぞ」と皇帝陛下が走り出した。
慌てて私と宰相、そして護衛の兵士が追いかける。
布団を抱え込む皇帝陛下と宰相に「梱包して王城にお届けします」と伝えると満面の笑顔で礼を言ってきた。
ふと隣を見ると、何かを訴える様な目で護衛兵士が私を見る。
「皆さんもご入り用ですか?」と尋ねると、首が千切れそうな勢いで頷いた。
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皇帝陛下達と布団を王都に送り届け、アナホルト村の自宅に帰り着いた私は、何故かそこで仲良く話し合っていたリナとヨルに挟まれていた。
「アナホルトよ。其方のギフトで封印中の物があるであろう。アレを我に使うが良い」と慎ましい胸を突き出して威圧してくる。
「ヨルちゃんだけずるい。私にも使って」と同く慎ましい胸でリナが縋り付く。
「アナホルトよ」「お兄ちゃん」と慎ましい胸を突き出す2人の猛攻に耐えながら…私はいつしか夢の中へと入っていた。
※現時点のギフト
ホール(穴掘り:空間含む)レベル3
(放る)
(集会所)レベル2
※派生ギフト
ホールド(保持)
ボール(球)
ウォール(壁)レベル2
ウール(羊毛:用途)
ポール(柱)
ロール(回転)
(役割)
ファーム(農業)
オール(全て)(操舵)
エール(応援)
ホーリー(聖魔法)
ホーイ(方位)
モール(大型商業施設)
ホーム(拠点)
(家)
(プラットホーム)
レール(軌条)
コール(凍る)
ホーニュウ(豊乳)…注)封印
フォーム(形状)
トール(雷神)…注)使用制限有り
ホーク(鷹の目)
※レベル特典
二重起動
今更ながら、皇帝と宰相の名前をどこで公開しよう?
無くても話が成立するから、そのままになってしまい、そう言えば王国の名前も決めてない、と悩んでいます。
うん、もし書き直す事があればその時に考えよう。




