テンプレは忘れた頃にやってくる
ドワーフの村と交易を開き、鉄鉱石を確保することを決めた。
そこでハンマオに必要な鉄鉱石の量を計算してもらうが、マキバがどれだけ頑張ってくれても運べそうにない量が必要だった。
『初号機を作るのに、村の鉄は使い切ってしまったからな〜』と考える。
するとハンマオが「以前、アナホルト様が木製の蒸気機関車の話をされていましたが…」とこちらを見た。
「あぁ、だが強度が確保出来ないと、安全面で不安だから却下したよね」とハンマオに答える。
「考えたのですが」とハンマオが手元の紙を丸める。
「全てを鉄で作ると鉄が足りません。全てを木で作ると強度が足りません」と丸めた紙を潰す。
しかし…と奥から竹ひごを出して丸め、その上に紙を丸めて覆う。
「こうすれば、鉄は最小限で足りますし、強度も上がります。何よりも車体が軽くなり、更にパワーも上がります」と熱く語りかけてきた。
「蒸気エンジンと車輪部分だけを鉄製にして、それ以外の部品は木製にして、補強に鉄を使えばどうでしょうか?」
私はハンマオの知恵に素直に頷き、気が付かなかった自分を恥じた。
何とか2号機の制作に光がさす。
「まだ完成はしていないが、これから新しく作る蒸気機関車は『光1号』と名付けよう」とハンマオに告げ、今の蒸気機関車は『初号機』として区別する。
ハンマオには『光1号』の補強に必要な強度計算と、設計図の作成を依頼して、ドワーフの村に旅立つ事にした。
出発に先立って、台車に車軸を取り付けてもらい、マキバが引きやすいように金具を取り付けた『トロッコ』を作ってもらう。
ドックス村に続くトンネルに【レール(軌条)】のギフトでレールを敷き、その上にトロッコを設置すると出発の準備は整った。
ドワーフの村まで新しく掘るトンネル用の光苔と空気穴用のプロペラをコンテナに積み込み、手土産にする魚の干物を亜空間倉庫に入れ、食料を準備すると出発準備は完了となったが…ここで問題が発生する。
「お兄ちゃんと一緒に行く〜」と泣き叫ぶリナ。
そう、リナが付いて来ると駄々をこねたのだ。
「今回は鉄鉱石の確保が必要で、2ヶ月近い旅になりそうだからお留守番して欲しい」と宥めるが聞いてくれない。
困り果てていると「1人では万が一の時に困るでしょうから、リナを連れて行ってください。それに、トンネルでは話し相手も必要でしょう」とバーモント村長が私にリナを連れて行くように提案してきた。
「しかし、危険かも知れませんよ」と言う私に、「もともとアナホルト様に助けられた命。本人の意思も固いようなので…」と言った。
溜息を吐き「1人でどこかに行かないこと。危なくなったら私から離れないようにね」とリナに言い聞かせると、パァっとリナの笑顔が弾け、バーモント村長とサムズアップをした。
『まあ、楽しそうで良いか』とマキバの鼻先を撫でながらリナを連れて出発する事にした。
「どうだマキバ。トロッコは問題ないか?」とトロッコを引くマキバに声をかける。
レールの上なので、普段の台車より軽いためか「ヒヒン」と上機嫌で嘶き、私とリナもトロッコに乗り込むように促してきた。
ドックス村までの道のりは光苔が生え揃い、トンネル内も明るいため何の問題もなくドックス村に着く。
ドーバル村長とピーグルに挨拶をして、ドワーフの村の情報を尋ねるが…
「情報と言われましても、半年に一度彼らの方から尋ねてくるだけなので…」と有意義な話はなかった。
それでも、背は小さいが力持ちで、酒好きの陽気な性格であることがわかった。
また、住居は洞窟を改造したものと聞いて、謎の親近感を覚える。
私は再びドーバル村のトンネルに入り【ホーイ(方位)】と唱え、ドワーフの村を探す。
すると、脳内の地図から一つの集落が点滅し、ドワーフ村と表示された。
『アナホルト村からドックス村までの距離と同じくらいか』と脳内地図で確認する。
隣に座るリナに「今回はトンネルを掘りながらレールを敷いて光苔の移植と空気穴も開けるから2ヶ月くらい掛かるからね」と念を押す。
「お兄ちゃん、2ヶ月分も食べ物は大丈夫?」と聞くリナに、「時々地上に出て獲物を狩るよ」と答えるとリナが明るく「私も手伝う」と笑った。
ーーーーーー
2週間くらい経ったのだろうか?
ずっと地下にいると、時間の感覚がなくなってきた。
それでも、毎日同じようにトンネルを延ばし、光苔を少しずつ移植し、所々で空気穴を設置しながら進むと、そろそろ食料が少なくなる。
「一度地上に出て、獲物を狩ろう」とリナに声を掛け、地上に向かうトンネルを横に開けた。
警戒しながら顔を出し、【ウォール(壁)】で出口を囲いマキバとリナを呼ぶ。
マキバは【ウォール(壁)】で囲まれた地面の下草を食べ出した。魔の森の植物は、魔素がふんだんに含まれ、美味しい上に栄養価も高いらしい。
「この辺りで危ないのは、魔熊と魔狼に大蛇が特に凶暴だとピーグルが言ってたから注意してね。オークやオーガも出るみたいだし…」とリナに声を掛ける。
「出来ればオークが狩れたら良いんだけど、ウサギか鹿でも良いよ」と獲物を探す。
すると、茂みの陰で一頭の雄鹿が草を喰んでいるのを見つけた。
リナが口に指を当て、私に声を出さないように合図すると、弓に矢をつがえて放つ。
その矢は一直線に飛び、狙い通り雄鹿の首筋に刺さる。
『この世界の兎獣人は鹿を狩るんだ」と動かなくなった鹿とサムズアップするリナを交互に見た。
手早く雄鹿を木に吊るし、血抜きをしてから亜空間倉庫にしまう。
当面の食料は確保出来たかな、と一息ついていると…
『うわー、助けてくれ〜』と叫び声が響きわたった。
私とリナがその方向を見ると、体長が5mはありそうな魔熊に襲われている小さな髭モジャの男がこちらに逃げてきた。
『いや、お姫様違うんか〜い!』と突っ込みを入れる間もなく、私とリナ、そして髭モジャの小さいおじさんの前に魔熊が立ち塞がった。
※現時点のギフト
ホール(穴掘り:空間含む)レベル3
(放る)
(集会所)レベル2
※派生ギフト
ホールド(保持)
ボール(球)
ウォール(壁)レベル2
ウール(羊毛:用途)
ポール(柱)
ロール(回転)
(役割)
ファーム(農業)
オール(全て)(操舵)
エール(応援)
ホーリー(聖魔法)
ホーイ(方位)
○ール(※※※※※※)
ホーム(拠点)
(家)
(プラットホーム)
レール(軌条)
コール(凍る)
ホーニュウ(豊乳)…注)封印
フォーム(形状)
※レベル特典
二重起動
思い付きだけで書き始めたため、魔の森の広大さと獣人の身体能力などの設定が甘く、移動時間が所々でバグっていました。
余りにも不自然な場合は修正しますが、流れで読み飛ばせそうな部分はそのままにしています。




