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よく見るテンプレなオープニングでスタートを

テンプレな異世界開拓物を書きたいと、突然の思い付きで設定もゴールも曖昧なまま勢いだけで走り出しました。

温かく見守っていただければ幸いです。

「オラ~能なし。さっさと穴を掘って倒したゴブリンを埋めろ~」

「そうそう、お前には穴を掘るしかギフトがないんだからな」

「ケケケ、貴族の三男で穴掘りギフトなんて平民にも劣るぜ」

と罵声が飛び交う。

その罵声を受けているのがノービル辺境伯の三男である私『アナホルト』だった。




この世界には魔物と魔法が存在し、魔族や獣人、エルフやドワーフが暮らしている。

魔王はいるが、あくまでも魔族と呼ばれる種族の国王であり、人族との小競り合いはあるが、隣国という扱いであった。


この魔人国と人族の境には広大な魔の森が広がり、その中央には『世界の(✴︎)』と呼ばれる標高8千メートルを超える山々が連なるハセースル山脈がそびえていた。

このハセースル山脈と魔の森により、魔人国からの侵略は防がれていたが、魔の森に発生する魔物の被害を防ぐことが辺境伯家の役割となり、ノービルの家に産まれたものは高い武力が求められていた。


「今日で貴様も12歳となる。ノービル家として強力な戦闘ギフトか最低でも治癒のギフトを授かってこい」とコートナシ ノービル辺境伯の怒鳴り声が響く。

この世界では12歳になると、女神より祝福を受けギフトと言う能力を授かる。

このギフト如何で、その先の人生が決まると言ってもいいほど、この世界においてギフトは重要となる。


「父上」と声がかかり「妾腹のアナホルトのギフトなどダメに決まっています。期待するならば私のギフトに」と言ってきたのは同じ年で正妻の息子『ヨーチナシ』だった。

私の母親はノービル家のメイドだったが、正妻である『ビルクーチ夫人』が妊娠中に、その美貌に目がくらんだ辺境伯により凌辱りょうじゅくされ私を産んだ。

このため、私の母親は正妻であるビルクーチ夫人からの虐めに加え、産後の手当も放置されたことから、その心労と疲労がたたり私を産んだ翌年に他界した。


その後、私は女中たちの手で育てられたが、その扱いは下男と同じであり、また半年先に産まれた次男のヨーチナシにさんざん虐められて育った。

それでも、一応は辺境伯の血筋ということで最低限の勉強とマナーの学習は受けることができた。

その能力の高さはヨーチナシなどが足元にも及ばないほど優れていたが、当然それを快く思わないヨーチナシとビルクーチ夫人の虐めは、日を追うごとに酷くなっていた。




教会のざわめきが一際大きくなり、いよいよ神父によるギフト授与の儀式が始まった。

「アナホルト ノービルよ、前に出なさい」と神父の声がかかる。

私が祭壇にひざまづき両手を合わせると祭壇が虹色に輝いた。

神父が驚き私のステータスを確認し、『アナホルト ノービルに授けられたギフトは・・・【ホール(✴︎ ✴︎ ✴︎)(穴掘り)※その派生(✴︎ ✴︎)】です』と宣言する。


それを聞いたコートナシ ノービル辺境伯は烈火れっかのごとく怒り「これまで育てた恩を裏切り・・・りにって(穴掘り)だと~」と私を殴りつけ、「貴様は謹慎しておれ」と私を協会から叩き出した。


ふらつく足取りで教会を後にするが、殴られたショックかギフトの影響かわからないが、突然頭の中に違う記憶が流れ込んできた。

『そうだ、私には日本という国で穴尾 掘男としていた記憶がある・・・』と混乱する頭を抱え、ふらつく足取りで辺境伯邸に帰っていった。


それをニヤニヤと笑いながら見ていたヨーチナシが「父上、あの無能の分は私が・・・」と祭壇の前に立った。

「ヨーチナシ ノービルのギフトは・・・」と神父がステータスを確認する。

「な、なんと最上級ギフトの【剣聖】です」




ギフト授与から一ヶ月が経った。

その間は、ヨーチナシや領土の若者に魔物退治に駆り出され、討伐した魔物を地面に穴を掘り埋める役割を与えられていた。


討伐した魔物は魔石を取り出した後、きちんと地面に埋めるか燃やしておかなければ、他の魔物を引き寄せ大氾濫に繋がる恐れがある為、必ず必要な行為だった。

ちなみに取り出した魔石は、魔道具の材料や魔法を発動する為のエネルギーとなる。


私に授けられた【ホール】は、手をかざした先に穴が掘られ、再び手を翳すと穴が埋まるスキルの為、この魔物を埋めるのにとても役立っていた。

また、この世界では基礎魔法として、小さな炎とわずかな水を生み出す魔法、そして身体の汚れを落とすクリーンの三魔法がギフトと共に与えられていた。


ある日、辺境伯の元を訪れたヨーチナシと母親のビルクーチ夫人が「このノービル辺境伯家の跡取りをヨーチナシに決めてください」と迫っていた。

辺境伯は「アナホルトは問題外だが、長男のカーノセイとヨーチナシのいずれにするかはもう少し様子を見て決める」と二人の要求に待ったを掛けた。

「ならば・・・せめて無能のアナホルトは処刑してください。栄誉あるノービル家に(穴掘り)のギフト持ちなど恥にしかなりません」とヨーチナシが迫る。


そこに「お待ちください父上」と長男であるカーノセイが当事者の私を引き連れて乗り込んできた。

「女神から授かったギフトを理由に処刑などすれば、女神をおろそかにしたと王家から非難されましょう」と私をかばう。

「それにアナホルトのギフトは(穴掘り)ではなく【ホール(✴︎ ✴︎ ✴︎)(穴掘り)※その派生(✴︎ ✴︎)】であり、単純に(穴掘り)と決めつけてしまうのは如何なものか?」とヨーチナシを睨む。


「ならば・・・」とノービル辺境伯が私の方を見て

「アナホルトよ、そなたにハセースル山脈のふもとを領土として与える。そなたのギフトであれば開拓にも適しておろう」とていのいい追放を言い渡し、「領土を与えるからには、これよりノービルの家名を名乗ることは許さん。今後はアナホルト ハセースル辺境土を名乗るがよい」と告げた。




「すまない、アナホルト」とカーノセイ兄さんが私に謝ってきた。

「本来であれば、優秀なアナホルトが辺境伯を継いでもおかしくないのに・・・」と告げる兄に「兄さんの御蔭で処刑を免れました。これからはハセースルの地を豊に開拓してきます」とカーノセイ兄さんに別れを告げた。


その後姿を見ながら「アナホルトを追放など・・・なんと愚かな。神父の話ではギフト授与において虹色の発光があったと言っていたが、それは神級のギフト授与の証であるはずなのに・・・」と悔しそうに顔を歪めた。




こうして私、ノービル アナホルトはハセースル アナホルト辺境土と名を変え、魔の森の最奥地であるハセースルの村を目指すこととなった。


現時点のギフト

ホール(穴掘り)



スキルの縛りが厳しく、かなり無理矢理な解釈や拡大解釈のご都合展開があります。

果たして、この辺境開拓が何処に辿り着くのか、筆者も手探りとなるため、整合性など怪しくなるかもですが、お付き合い頂ければ幸いです。

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