第57話 『迫る闇』
魔力の海が、不穏な波動を帯び始めていた。
「来る!」シャドウが警告を発する。
漆黒の影が、渦を巻きながら近づいてくる。その中心から、低い声が響く。
「千年の眠りから目覚め」
「そして今、再び」
「全ての魔力を、我らのものとするとき」
「理論的に分析させていただきますと」リーフが震える声で。「この魔力波動は既知の全てを超えており、さらにその歪みは...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その声には緊張が混じる。「でも、只事じゃないわ」
『闇の一族』古のスライムが警戒を強める。『彼らの目的は、魔力の支配』
影の中から、人の形をした存在が姿を現す。しかし、その姿は明らかに人ではない。
「純粋魔力の守護者たちよ」存在が不敵に笑む。「よくぞ戻ってきた。お前たちの力こそ、我らが求めるもの」
「僕たちの...力?」ポップが身構える。
「そうだ」存在が続ける。「純粋魔力を制御し、歪めることで、全ての魔法を支配下に」
「そんなこと」フレアが怒りを込めて。「オレたちの力は、みんなを笑顔にするためのものだ!」
「笑顔?」存在が嘲笑う。「魔力とは力だ。世界を支配するための...」
「違います!」
予想外の声が上がった。フィリアが一歩前に出る。
「魔法は、人々を結ぶもの」彼女の杖が輝きを増す。「私たちはそれを、配達を通じて学んだ」
シャドウも、影の形を整える。
「かつての私も」彼が静かに。「力による支配を求めた。しかし、それは間違いだった」
存在の周りで、闇が渦を巻く。
「ならば」その声が冷たく。「力でそれを証明してみせよう」
魔力の海全体が、大きく波打ち始める。
「みんな!」翔太が叫ぶ。「これが、私たちの本当の戦いの始まりだ!」
スライムたちの体が、強く輝き出す。
「僕たち」ポップが真剣な表情で。「守るべきものがあるんだ!」
「熱い想いを、力に!」フレアが叫ぶ。
「理論を超えて!」リーフが決意を込めて。
「美しく決めましょう」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
古のスライムたちも、光の輪を形作る。
『受け継がれし者たちよ』
『示せ。お前たちの見出した答えを』
純粋な光と濃密な闇が、魔力の海で激突する。
世界の運命を賭けた戦いが、今始まろうとしていた。
(続く)




