第56話 『古の記憶』
「これが、世界の真実」
古のスライムたちが作り出す光の渦の中で、映像が浮かび上がる。それは、誰も見たことのない太古の世界。
「理論的に観測させていただきますと」リーフが真剣な面持ちで。「この映像の魔力波長は、既知の時空を超えた古代のものであり...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その声は震えている。「でも、これは私たちの...」
映像は、スライムたちの本当の起源を映し出していた。
『私たちは、調和の守護者』
古のスライムの声が響く。
『世界の魔力を浄化し、均衡を保つ存在』
その時、シャドウが影の中で震える。
「まさか...」彼の声が変わる。「魔王軍が追い求めていた真実とは」
映像は、世界の分断以前の光景を映す。スライムたちが純粋魔力によって世界の調和を保ち、人々と共生していた時代。
しかし——。
『闇の一族が現れた』
映像に、黒い影が忍び寄る。
『彼らは、魔力を歪め、世界を支配しようとした』
「さっきの黒い影」フレアが気づく。「アイツらか!」
『私たちは選択を迫られた』
古のスライムの声が重い。
『世界を引き裂き、闇の力を封印するか。それとも...』
「そうか」フィリアが杖を強く握る。「だから東西に...」
「でも」ポップが不安そうに。「その封印が、今...」
『千年の時を経て』古のスライムが続ける。『闇の力が再び目覚めようとしている』
その瞬間、魔力の海全体が大きく揺れる。
「ねぇ」ミストが静かに。「あの時の魔王軍も」
「ああ」シャドウが答える。「知らぬ間に、闇の一族に利用されていた」
『しかし、希望がある』
古のスライムたちが、結衆社の面々を包み込むように光を放つ。
『あなたたちは、新しい可能性を見出した』
「新しい...?」
『東と西を分断せず、違いを認め合いながら』
『調和を生み出す道』
『それは、私たちの時代には見出せなかった答え』
翔太は静かに頷く。
「私たちは」彼が決意を込めて。「"結びつき"を信じてきた」
「そうだよ!」ポップが力強く。「僕たちは配達屋さん。みんなの心を繋ぐんだ!」
「熱い絆の力で!」フレアが燃える。
「理論を超えた可能性を!」リーフが真剣に。
「美しい調和を」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
フィリアの杖が、新たな光を放つ。
「この魔法は」彼女の声に確信が混じる。「きっと、世界を救える」
その時、遠くで不吉な轟音が響く。
『始まった』古のスライムの声が急迫する。『闇の一族が、封印を破ろうとしている』
魔力の海が、静かに、しかし確実に波打ち始めていた。
(続く)




