第55話 『魔力の海で』
「これが...魔力の海」
青く輝く空間の中で、結衆社の面々は息を呑んでいた。周囲を取り巻く魔力は、これまで見たこともないほど濃密で純粋なものだった。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが興奮気味に。「この空間の魔力濃度は通常の約1247.6倍!さらにその純度は...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その声には驚きが混じる。「でも、この感覚...私たちの故郷?」
確かに、スライムたちの体は魔力の海に呼応するように、自然と輝きを増していた。
「なんだか」ポップが不思議そうに。「懐かしいような...」
シャドウも、影の形を変えながら周囲を観察している。
「この魔力」彼が静かに告げる。「世界の根源に近い」
その時、遠くで異変が起きた。
「あれは!」フレアが声を上げる。「光の群れ?」
無数の光の粒が、彼らの方へと近づいてくる。その正体は——。
「スライム!」ミストが驚きの声を上げる。「でも、少し違う...」
フィリアの杖が強く反応する。
「古の純粋魔力を持つ存在」彼女が目を見開く。「千年前から、ここで...」
光の群れが彼らを取り囲む。しかし、その様子には敵意はない。むしろ...。
『待っていた』
不思議な声が、直接心に響く。
『私たちの子孫たちよ』
翔太は、目の前の光景に言葉を失う。古のスライムたちは、まるで故郷に戻った子供たちを迎えるかのように、温かな光を放っていた。
しかし——。
『しかし、時間がない』
古のスライムの声が急迫する。
『彼らが、動き始めた』
「彼らって...」
その瞬間、魔力の海全体が大きく波打つ。
「これは!」シャドウが警戒を強める。「見覚えのある魔力...まさか!」
遠くの闇の中に、黒い影が蠢く。それは、彼らが知る魔王軍のものとは違う、より根源的な...。
「みんな!」フィリアが杖を構える。「何かが来る!」
スライムたちの体が、本能的に反応する。
「僕たち」ポップが真剣な表情で。「守らなきゃいけないものがあるんだ」
「熱い戦いになりそうだぜ!」フレアが力を込めて。
「理論値を超えて!」リーフが決意を込めて。
「美しく決めましょう」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
古のスライムたちもまた、彼らと共に輝きを増す。
そして——。
『真実を』古のスライムの声が響く。『受け継ぐ準備はできているか』
魔力の海の深淵で、新たな物語が始まろうとしていた。
(続く)




