第54話 『新たな海へ』
創織の塔の上空で、巨大な魔法陣が完成を迎えようとしていた。
「これが」フィリアが杖を掲げる。「魔力の海への門」
輝く円環の中心には、未知なる領域への入り口が開かれつつある。
「理論的に観測させていただきますと」リーフが興奮気味に。「門の向こう側からの魔力波動は、既知の理論値を遥かに超えており...」
「うるさいわね」ルナが制するが、その声には期待が混じる。「でも、私たちが行くべき場所よね」
スライムたちの体が、自然と共鳴を始める。
「この感覚」ポップが目を輝かせる。「まるで、呼ばれてるみたい」
突然、門の中心から強い光が放たれる。
「来たか」シャドウが身構える。「魔力の海からの...」
その瞬間、予想外の映像が浮かび上がった。
「これは!」老研究者が息を呑む。
光の中には、無数のスライムの姿。そして、彼らが守護する何か巨大なものの影。
「古のスライムたち」フィリアが目を見開く。「千年前から、ずっと...」
「待ってたんだ」フレアが熱く。「オレたちを!」
「皆さん」ミストが静かに。「準備は?」
翔太は仲間たちを見回す。結衆社としての最後の確認。
「行きましょう」彼が静かに、しかし力強く。「新しい配達の旅へ」
メリッサが最後の言葉を贈る。
「忘れないで」彼女が真剣な眼差しで。「あなたたちは、この世界の希望」
「はい!」ポップが元気よく。「だから必ず、素敵なお土産を持って帰ってくるよ!」
「熱い発見をな!」フレアが力強く。
「理論の新境地へ!」リーフが真剣に。
「美しい冒険にしましょう」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
フィリアの杖が、最後の輝きを放つ。
「私たちの魔法で」彼女の声に決意が込められる。「新しい"結びつき"を」
門が完全に開かれる。その向こうには、青く輝く魔力の大海が広がっていた。
「行くぞ!」
結衆社の面々が、一斉に飛び込む。
シャドウも、影となって共に。
光の渦が彼らを包み込み、未知なる領域へと導いていく。
塔に残された人々は、祈るように空を見上げていた。
新しい物語の始まりを、見届けるように。
(続く)




