第53話 『別れの時』
創織の塔の広場には、大勢の人々が集まっていた。東西の配達員たち、商人たち、そして結衆社のサービスを利用してきた人々。
「理論的に考察させていただきますと」リーフが感極まりながら。「これほどの人数が集まる確率は、わずか0.024%。つまり、この状況は奇跡的な...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その目は潤んでいる。「でも、今日だけは許してあげる」
メリッサが前に進み出る。
「結衆社の皆さん」彼女の声には、普段の冷静さが揺らいでいた。「あなたたちが教えてくれた"結びつき"は、確実にこの世界に根付き始めています」
東西の配達員たちが次々と声を上げる。
「私たちも、頑張ります!」
「新しい配送網を、必ず」
「あなたたちの分まで」
「みんな...」ポップの小さな体が震える。
「熱いものが込み上げてくるぜ」フレアも感情を抑えきれない。
「私たちも、色々と成長しました」ミストが静かに、しかし確かな声で。
その時、思いがけない来訪者があった。
「待っていました」
振り向くと、かつての依頼人たちが、懐かしい荷物を手に集まっていた。
「あの時の薬」老婆が涙ながらに。「娘を救ってくれて、ありがとう」
「雪山を越えた配達」
「緊急時の対応」
「いつも笑顔で」
次々と思い出が語られる。
フィリアは杖を強く握る。
「この魔法は」彼女の声が震える。「みなさんとの出会いがあったから、輝けた」
シャドウも、影の中で形を変える。
「異なる者同士が」彼が静かに。「互いを理解し、認め合う。その強さを、私も学んだ」
翔太は、仲間たちと共に広場の中央に立つ。
「私たちは」彼が力強く告げる。「必ず戻ってきます。そして、この世界にとって必要なものを、きっと届けます」
「約束だよ!」ポップが元気よく。
「熱い再会を!」フレアが力強く。
「理論値を超えて」リーフが真剣に。
「優雅な帰還を」ルナが微笑んで。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
老研究者が前に出る。
「準備は整った」彼が告げる。「魔力の海へと続く、最後の門が」
塔の上空で、新しい魔法陣が形を成し始める。未知なる領域への道が、今まさに開かれようとしていた。
別れの涙の中に、確かな希望が光る。
この世界は、彼らの帰りを待っている。
(続く)




