第52話 『最後の試練』
「これが最後の試験です」
創織の塔の地下室で、老研究者が厳かな声で告げる。そこには、古の魔法陣が刻まれていた。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが慎重に観察しながら。「この魔法陣は世界分断以前のもので、その魔力波長は現代の約8.92倍。さらに...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、表情は真剣だ。「でも、只事じゃない魔力ね」
シャドウも影の中で身構える。
「これは」彼が低い声で。「古のスライムたちが残した試練」
魔法陣が青く輝き始める。その中心で、不思議な現象が起きていた。
「見て!」ポップが声を上げる。「色んな世界が...」
確かに、魔法陣の中には様々な光景が映し出されている。東西で対立する人々、苦しむ村人たち、混乱する配送網。
「私たちが変えてきた世界」フレアが熱く。「でも、まだ...」
「たくさんの課題が」ミストが静かに続ける。
フィリアは杖を強く握る。映し出される光景の一つ一つが、彼らの旅立ちへの迷いを誘う。
「本当に」魔法陣が問いかけるように。「ここを離れて良いのか」
重苦しい空気が流れる。その時。
「大丈夫だ」
翔太が一歩前に出る。
「私たちは逃げるわけじゃない。この世界に必要なものを、探しに行くんだ」
スライムたちの体が、自然と輝き始める。
「そうだよ!」ポップが元気を取り戻す。「僕たちは配達屋さん。必要なものを、必要な場所に」
「熱い想いで突き進むぜ!」フレアが力強く。
「理論を超えた使命を」リーフが真剣に。
「美しく決めましょう」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
突如、魔法陣の輝きが変化する。
「これは!」老研究者が驚きの声を上げる。
光の中から、新たな映像が浮かび上がる。海の向こうで輝く未知の光。そして、それを待つ何かの気配。
「見えます」フィリアが杖を掲げる。「私たちが行くべき場所が」
シャドウも形を整える。
「覚悟は決まったようだな」
魔法陣は静かに輝きを失っていく。しかし、その試練は確かな答えを彼らにもたらしていた。
「さあ」翔太が仲間たちを見回す。「最後の準備を」
「出発まで、あと3日」老研究者が告げる。「この世界に残す者たちとの、別れの時間だ」
外では、夕陽が塔を染めていた。
旅立ちの時が、刻一刻と近づいている。
(続く)




