第51話 『旅立ちの準備』
「魔力の海を渡るための準備、こんなところでしょうか」
創織の塔の広間で、フィリアが新しい魔法陣を展開していた。通常の魔力では耐えられない領域を進むための、特別な防御魔法の開発だ。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが慎重に観察しながら。「この魔法陣の耐性は従来比456%。しかし未知の環境下では...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、真剣に聞いている。「でも、この準備は完璧じゃないわ」
確かに、魔力の海に関する情報は限られていた。古い文献にもわずかな記述があるだけ。
「なあなあ」フレアが不安げに。「オレたちの魔力だけで、大丈夫かな」
「私も気になります」ミストが静かに。「あの感覚は、まるで呼びかけのよう」
その時、シャドウが新しい情報を持ってくる。
「南方での魔力異常」彼が報告する。「あれは道しるべかもしれない」
「道しるべ?」
「ああ」老研究者が説明を加える。「千年前の痕跡。古のスライムたちが残した...」
突然、実験中の魔法陣が強く反応する。
「これは!」フィリアが驚いて。
魔法陣の中心で、スライムたちの体が自然と輝き始めた。
「僕、分かるよ」ポップが真剣な表情で。「先に進むべき道が...」
その瞬間、予想外の来訪者が。
「そう簡単には、行かせられないわ」
振り向くと、メリッサが厳しい表情で立っていた。
「この世界には」彼女が続ける。「まだやるべきことが」
確かに、東西の統合はまだ途上。新しい配送システムも、問題は山積みだ。
「でも」翔太が静かに前に出る。「だからこそ、行く必要がある」
「え?」
「私たちは配達員です」彼が力強く。「この世界に必要なものを、必要な場所へ」
「そうだよ!」ポップが跳ねる。「今、世界が求めてるのは...」
「新しい可能性」フレアが熱く。
「理論を超えた答えを」リーフが真剣に。
「調和への道しるべ」ルナが優雅に。
「皆で見つけましょう」ミストが静かに。
フィリアも杖を掲げる。
「この魔法に」彼女の声に確信が混じる。「まだ見ぬ力が眠っているはず」
メリッサは、そんな彼らをしばらく見つめていた。そして...。
「分かりました」彼女が深いため息と共に。「でも、条件があります」
彼女が示したのは、新しい通信魔法の開発計画。
「この世界と」彼女が微笑む。「ちゃんと繋がっていてちょうだい」
準備は新たな段階へ。
未知への挑戦は、また一歩、現実味を帯びていく。
(続く)




