第50話 『未知への誘い』
「魔力の海の向こうに、何があるんでしょうか」
創織の塔の資料室で、フィリアが古い地図を広げていた。大陸の外周を取り巻く謎の領域。歴史書にも、わずかな記述しか残されていない。
「理論的に考察させていただきますと」リーフが真剣な表情で。「通常の魔力とは異なる波動が観測されており、さらにその強度は...」
「うるさいわね」ルナが遮るが、その目は地図に釘付けだ。「でも、この感覚は確かよ」
スライムたちの体が、かすかに共鳴している。
「なあなあ」フレアが興奮気味に。「オレたちのルーツも、あるんじゃねぇか?」
「私にも」ミストが静かに。「懐かしい響きを感じます」
シャドウが影から姿を現す。
「千年前」彼が説明を始める。「世界が分断される直前、古のスライムたちは魔力の海へと向かった。そして...」
「痕跡が途絶える」老研究者が言葉を継ぐ。「まるで、何かを準備するかのように」
その時、ポップが不思議そうに首をかしげる。
「ねぇ」彼が仲間たちに向かって。「僕たち、行かなきゃいけない気がするんだ」
「確かに」翔太も頷く。「でも、この世界の配送網も、まだ完全ではない」
メリッサが一歩前に出る。
「それは、私たちに任せて」
振り向くと、東西の配達員たちが集まっていた。
「結衆社さんには」一人が声を上げる。「もっと大切な配達があるはずです」
「世界を結ぶ架け橋として」もう一人が続く。
フィリアは杖を握りしめる。
「この感覚」彼女の目が輝く。「まるで、世界が私たちを導いているみたい」
突然、塔全体が微かに震動する。
「観測結果です!」リーフが跳ねながら。「南方の魔力異常、さらに拡大。そして方向性が...」
「魔力の海に向かってる」シャドウが静かに。
翔太は仲間たちを見回す。
「どうする?」
「決まってるよ!」ポップが元気よく。「僕たちは配達屋さん。呼ばれてるなら、行くしかないよね!」
「熱いぜ!」フレアが興奮気味に。
「理論値を超えた可能性を!」リーフが真剣に。
「新しい冒険ね」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
「私も行きます」フィリアが決意を込めて。「この魔法の、新しい可能性を求めて」
シャドウも、影の中で形を整える。
「私も同行を」彼が告げる。「魔王軍として...いや、新しい仲間として」
創織の塔の窓から、遥か南方が見える。
そこには、誰も見たことのない世界が広がっているはずだ。
新たな「結びつき」を求めて。
結衆社の新しい物語が、今始まろうとしていた。
(続く)




