第40話 『迫る影』
「配達依頼です」
ミストが報告する声には、緊張が混じっていた。依頼主は辺境の村。しかしその場所は...。
「魔王軍の領域と隣接している」フィリアが地図を確認する。
「罠の可能性が高いわね」メリッサが冷静に分析。「でも...」
地図の上に、依頼書が置かれる。病気の子供たちのための薬。そして食料。
「理論的に考察させていただきますと」リーフが真剣な表情で。「成功率は43.2%。さらに魔王軍の介入を考慮すると...」
「うるさいわね」ルナが遮る。「でも、行くでしょ?」
「当たり前だぜ!」フレアが熱く。「困ってる人がいるなら!」
翔太は黙って依頼書を見つめていた。確かに罠かもしれない。しかし...。
「ねぇ」ポップが静かに。「僕たち、どうする?」
事務所に重い空気が流れる。その時、フィリアが一歩前に出た。
「行きましょう」
「フィリアさん?」
「私たちの純粋魔力は」彼女が杖を構える。「誰かを助けるための力。それは、創織の塔で確信したはず」
スライムたちの体が、自然と輝き始める。
「そうだよ!」ポップが元気を取り戻す。「僕たちは配達屋だもん!」
「熱い使命だぜ!」
「理論は時に超えるべき!」
「覚悟は決まってるわ」
「皆さんと共に」
しかし、その時。
「待ちなさい」
メリッサが前に出る。彼女の表情には、普段の余裕がない。
「私からの提案です」
一同が耳を傾ける。
「商人ギルドの護衛部隊を」彼女が真剣な眼差しで。「同行させてください」
「メリッサさん...」
「純粋魔力は、確かに世界を変える力」彼女が続ける。「でも、その前にあなたたちには、もっと大切な使命がある」
「大切な...」
「そう。人々を"結ぶ"こと」
翔太は静かに頷いた。
「分かりました」彼が決意を込めて。「でも、配達は私たちの手で」
「もちろんよ」メリッサが微笑む。「ギルドは影から支えるだけ。これも、東と西を結ぶ第一歩として」
準備が始まる。しかし、誰もが感じていた。
この配達が、何かの転換点になることを。
「行きましょう」翔太が仲間たちを見る。「結衆社の配達、始めます」
外では、不穏な雲が空を覆っていた。
しかし、スライムたちの光は、いつになく強く輝いている。
(続く)




