第38話 『塔の記憶』
「今よ!」フィリアの声が響く。
事務所内に広がった影に対し、スライムたちの純粋魔力が光の帯となって立ち向かう。
「理論的に分析させていただきますと」リーフが真剣な表情で。「この歪んだ魔力は、私たちの純粋魔力と真逆の性質を持っており...」
「うるさいわね」ルナが集中しながら。「でも、今は全力で!」
シャドウの放つ影が、スライムたちを包み込もうとする。しかし、五匹の純粋魔力は完璧な調和を見せていた。
「フィリアさんの魔法と」ポップが輝きながら。「僕たちの力が...!」
「熱い共鳴だぜ!」フレアも力を込めて。
「皆さん、さらに...」ミストが静かに力を引き出す。
歪んだ影と純粋な光が、事務所内でせめぎ合う。
「面白い」シャドウが薄く笑む。「これほどの純粋魔力とは。しかし...」
彼の影が、さらに濃さを増していく。
「貴様ら人間には」シャドウの声が冷たく。「この力は使いこなせん」
「違います!」
フィリアが一歩前に出る。
「私たちは、仲間です。種族なんて関係ない。この魔法は...」
彼女の杖から、新たな光が放たれる。スライムたちの純粋魔力と完全に共鳴する保存魔法。
「人と人とを結ぶ力なんです!」
光の渦が、シャドウの影を押し返していく。
「くっ...」シャドウが後退する。「まさか、人間とスライムの魔力が...」
「当たり前だ」翔太も前に出る。「私たちは、配達を通じて絆を作ってきた」
シャドウは一瞬、驚いたような表情を見せる。そして...。
「撤退する」彼が影に溶けるように。「だが、魔王軍は諦めん。必ず、その純粋魔力を...」
残されたのは、薄れゆく影と、決意を新たにする結衆社の面々。
「みんな、ありがとう」翔太が静かに告げる。
「僕たちの力」ポップが嬉しそうに。「役に立ててよかった!」
「熱かったぜ!」
「理論値を超えました!」
「完璧ね」
「皆さんと共に」
フィリアは、杖を強く握る。
「私たちの魔法は、誰かを傷つけるためじゃない」
「ああ」翔太も頷く。「人々を、世界を、結ぶための力だ」
しかし、シャドウの最後の言葉が、重く響く。
魔王軍の影は、確実に忍び寄っていた。
(続く)




