第36話 『新しい世界へ』
創織の塔から広がった光は、東西の大陸を緩やかに包み込んでいった。
「見て!」ポップが嬉しそうに指さす。「街の人たちが...」
西方物流公社の人々の表情が、徐々に和らいでいく。制服の下から、かすかな魔力の光が漏れ始めていた。
「理論的に考察させていただきますと」リーフが感動的な声で。「これは魔法と人の本来の関係性が...」
「今は」ルナが珍しく優しく。「言葉はいらないわ」
「熱いものが込み上げてくるぜ!」フレアが感極まって。
「皆さん」ミストが静かに微笑む。「やっと、届けられました」
守護者が、穏やかな光を放ちながら語り始める。
「Project Unityの本当の目的は、これだった」
「本当の目的?」翔太が問いかける。
「東西の統合は、手段に過ぎない」守護者が説明を続ける。「真の目的は、魔法と人との調和。それを運ぶ存在として、君たちは生まれた」
フィリアは、塔の窓から広がる光景を見つめていた。
街では、西方の機械と東方の魔法が自然に溶け合い始めている。機械生物たちは より生き生きと動き、魔力管は柔らかな光を放つ。
「これが」フィリアが杖を握る。「本来の姿」
その時、制御室に新たな映像が浮かび上がる。
「父!」
そこには、メリッサの父の姿があった。
『もし、この映像を見ているなら、きっと成功したのだろう』
『純粋魔力を持つ君たちは、配達者として育ってくれただろうか』
スライムたちは、懐かしむように映像を見つめる。
『物を運ぶだけが配達じゃない。大切なのは、心を繋ぐこと』
『だから君たちに託した。調和という特別な荷物を』
「私たちは」ポップが仲間たちを見る。「ちゃんと、配達屋になれたのかな?」
「当たり前だ!」フレアが元気よく。
「理論値を超える成果です!」リーフが誇らしげに。
「完璧な配達だったわ」ルナが頷く。
「皆さんと共に」ミストが静かに。
翔太とフィリアは、スライムたちの成長を感じていた。
送料無料の配達会社として始まった結衆社。
それは今や、世界に調和を届ける特別な存在となっている。
「でも」翔太が微笑む。「私たちの配達は、まだ終わらない」
「そうですね」フィリアも杖を構える。「これからです」
守護者が告げる。
「新しい時代の始まりだ。東西の調和は、ここから」
創織の塔の上空で、朝日が昇り始めていた。
(続く)




