第34話 『明かされる真実』
「ここが、制御室...」
塔の最上階に辿り着いた一行の前に、巨大な円形の部屋が広がっていた。壁一面を覆う魔力管が中央へと集まり、そこに浮かぶ水晶のような装置へと繋がっている。
「記録装置です」守護者が説明する。「東西の研究史と、Project Unityの全て」
「理論的に考えると、この装置は魔力と記憶を結晶化して...」
「今は黙って」ルナが静かに。「大切な記憶が、呼びかけてくる」
スライムたちの体が、自然と輝き始める。その光が水晶に触れると、空間に映像が広がった。
『実験記録001:東西魔法統合計画始動』
映像には、東西の研究者たちの姿。その中に、若かりし日のメリッサの父の姿もあった。
『私たちは、魔法の本質を追い求めてきた』
『魔力を制御し、機械化する西方』
『自然と調和し、共生する東方』
『しかし、それは本来、一つの力だったはず』
「Project Unity...」フィリアが息を呑む。「東西の魔法を、一つに」
映像が進む。
『実験記録127:純粋魔力の具現化に成功』
『意思を持ち、自在に形を変える存在』
『東西の魔法を自然に操る、驚異的な適性』
『これこそが、本来の魔法の姿』
スライムたちが、自分たちの誕生の瞬間を見つめる。
しかし、その時。
『緊急記録:分裂勃発』
『西方評議会が計画の中止を通達』
『純粋魔力の管理権を巡り、東西が対立』
『研究者たちの離散、スライムたちの緊急避難』
「そうか」翔太が気づく。「だから東の大陸に...」
「研究者たちは」フィリアがノートを開く。「スライムたちを守るため、東へと」
その時、新たな映像が浮かび上がる。
それは、メリッサの父からのメッセージだった。
『もし、これを見ているなら』
『君たちは必ず、この塔に戻ってくると信じていた』
『純粋魔力を持つ君たちにしか、できないことがある』
「できないこと?」ポップが不安そうに。
『東西の対立は深まり、魔法は歪められた』
『西方は魔力を管理し、東方は魔法を制限』
『しかし、君たちは違う』
『君たちの中に、本来の魔法がある』
その時、塔が大きく揺れる。
「西方物流公社」守護者が警告。「塔の制圧を開始」
「もう来てたのか!」
「待って」フィリアが気づく。「スライムたちの魔力が...」
五匹の体が、これまでにない強い光を放ち始めていた。
「なんだか」ポップが不思議そうに。「分かってきた」
「ああ」フレアが頷く。「オレたちが、やるべきこと」
「理論を超えた」リーフが珍しく詩的に。「本来の姿へ」
「そうね」ルナが優雅に。
「皆さんと共に」ミストが確かな声で。
守護者が頷く。
「おまえたちは、配達者だ」
「配達...者?」翔太が問う。
「ああ」守護者の声が温かい。「本来の魔法を、世界に届ける者たち」
新たな使命が、明らかになる時。
塔の外では、激しい足音が近づいていた。
(続く)




