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第31話 『塔への道』

「この先から、機械生物の生息地です」


ミストが静かに報告する。トレードポートを出発して3日目、一行は西大陸特有の危険地帯に差し掛かっていた。


道の脇には錆びついた機械の残骸。かつて魔力を帯びていたであろう部品が、今は黒ずんで朽ちている。


「理論的に分析させていただきますと」リーフが声を潜めて。「これらの機械は魔力と金属の融合によって生命体のように...」


「今回は黙りなさい」ルナが真剣な表情。「物音を立てると危険よ」


その時、遠くで金属のきしむ音が響く。


「来るぜ...」フレアが身構える。


地面が震動し、巨大な影が近づいてくる。現れたのは、蜘蛛のような形状の機械生物。その八本の脚は魔力管で構成され、青白い光を放っている。


「あれが」フィリアがメリッサの研究ノートを確認する。「西方の失敗作...魔導機械獣」


「みんな、気を付けて!」翔太が声を上げる。


しかし、その瞬間。


「あれ?」ポップが首を傾げる。「なんか、懐かしい感じ...」


突如、スライムたちの体が微かに輝き始める。それは以前とは違う、より穏やかな光だった。


「この反応は!」フィリアが目を見開く。


機械生物の動きが止まる。そして、その青い魔力管が、スライムたちの光に呼応するように明滅し始めた。


「理論的には考えられない現象です!」リーフが興奮気味に。「機械生物の制御システムが、私たちの魔力に...」


「まるで」ルナが呟く。「昔からの知り合いみたい」


「そうか!」フィリアが研究ノートを開く。「ここに書いてある。"純粋魔力は全ての魔法の根源。それは機械をも制御し得る"」


「熱い発見だぜ!」フレアが声を上げる。


「私にも」ミストが静かに。「懐かしさを感じます」


翔太は、目の前の光景を見つめていた。

スライムと機械。

東の魔法と西の技術。

相反するはずのものが、確かに共鳴している。


「ねぇ」ポップが機械生物に近づく。「この子たち、案内してくれるみたい」


確かに、機械生物は塔の方角を指し示すように動いていた。


「面白い」フィリアが杖を握る。「私たちの知らない力が、少しずつ」


その時、遠くに創織の塔のシルエットが見えた。

漆黒の塔身に、無数の魔力管が這うように伸びている。

その姿は、威圧的でありながら、どこか懐かしさを感じさせた。


「行こう」翔太が仲間たちを見る。「僕たちの、本当の姿を探しに」


スライムたちは頷く。

未知の存在である機械生物を、もはや恐れていない。

むしろ、懐かしい仲間に出会ったかのように。


(続く)

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